プーチンのロシアと大日本帝国

ウクライナ戦争に対するアメリカの経済学者ジェフリー・サックス氏の見方は刺激的です。

アメリカが戦争に誘い込み、ロシアは我慢しきれず軍事侵攻に踏み切ったとしてます。

日本が太平洋戦争へと突入した81年前の悪夢を見ているような感慨に襲われます。

1941年7月日本軍は南部仏印(現ベトナム南部)へ進駐しました。

この軍事侵攻をきっかけにアメリカは日本に対する石油の全面禁輸に踏み切りました。

追い込まれた日本は他に方策なしと判断し81年前の今月8日対米戦に争に突入しました。

前史があります。1937年7月に始まった日中戦争は中国軍の抗戦で泥沼化していました。

日本軍は中国軍をなめてかかり短期間で制圧できると見ていたとされます。

中国大陸は広大で奥深いです。奥地に逃げ込む中国軍を叩くことができません。

蒋介石軍だけでなく毛沢東率いる共産軍のゲリラ攻撃にもさらされ苦戦を強いられました。

蒋介石は英語に堪能な妻をアメリカに派遣し対米世論工作を展開しました。

イギリスのチャーチルもヨーロッパ戦線を有利にするためアメリカの参戦は必須と考えました。

日本の真珠湾攻撃によるアメリカの対日参戦は中国とイギリスにとって思惑通りでした。

プーチン大統領にとってウクライナがアメリカの影響下に置かれることは許しがたいです。

かつてはソビエト連邦の配下にあった地域です。ロシア語を話す人民も多くいます。

2014年にウクライナに親欧米政権が誕生したことは対立を決定的にしました。

今年の2月堪忍袋が切れウクライナに攻め込みました。短期決着の目論見だったはずです。

しかしアメリカなどから最新兵器の支援を受けているウクライナの抵抗は予想を超えました。

中国をなめてかかっていたかつての大日本帝国軍と重なるところがあります。

ゼレンスキー大統領がネットを駆使し国際世論を動かしているのは蒋介石のようです。

日中戦争が泥沼化したのと同様にウクライナ戦争も同様な状況になっています。

旧日本軍の事例によれば自棄になったロシアがアメリカとの直接の戦争となります。

そうはならない強力な強みがロシアにはあります。資源国だということです。

日本のように石油を求めて暴走することはありません。ここが大きな違いです。

もうひとつはロシアが核を持っていることです。全面対立は人類の破滅につながります。

ウクライナを舞台にした米ロの主導権をめぐる戦争は容易に決着しないことになります。

ウクライナ国民が厳寒に耐えていることを思うといたたまれません。

今年の漢字は「戦」です。来年も同じ漢字が選ばれるかもしれない年の瀬です。

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