自民党の劣化を憂う

1955年の保守合同以降、ごく一時期を除いて政権を担ってきたのは自民党です。

政治記者としてまじかで見て凄味を覚えた政治家のほぼ全員が自民党の方でした。

懐の深さ、目先のことだけでなく大局を見る眼を持ち合わせていることが印象に残ってます。

梶山静六さんが存命ならば自民党の現状をどう見るか聞いてみたいです。

防衛費の増額の財源をめぐる自民党内の議論には党の劣化を感じ暗い気持ちにさせられます。

防衛費の増額に反対する共産党議員が徹底的に批判するならばわかります。

防衛費の増額を主導してきた自民党の議員の発言だからあ然とするのです。

増額は必要だが国民や企業には負担をかけれないので借金でしのごうというです。

今の世代の負担は拒否し将来へのつけ回しはなぜ許されるのか全く理解できません。

新型コロナで苦しんでいるからというのが増税反対の大義ですが解せません。

日本は中国、北朝鮮、ロシアの強権国家に囲まれ安全保障環境は極めて悪化してます。

ウクライナ戦争の現況を見れば弾道ミサイルへの備えの強化は止む得ないところです。

イージス艦と地上配備のミサイル抑撃システムをどう強化すれば適切かの具体論は残ってます。

概ねの防衛費の総額を示し財源構成の骨格を決めることは常識的です。

先送りして議論が煮詰まらずにドタバタで借金でしのぐことはあってはいけません。

一定額は増税による安定的な財源で賄おうというのは方向性としては妥当な判断です。

岸田総理がもう一段強く指導力を発揮して欲しいところですが性分なのでしょう。

個人所得税は増やさないと早々に述べたりして迫力不足は否めません。

国民に広く薄く負担を求めるなら姑息な手段を使うのではなく堂々と進むべきです。

梶山さんなら「自分の国は自分で守る」が防衛の基本中の基本だと主張するでしょう。

その姿勢の延長線上には負担したくないから借金で賄うという発想は出てきません。

一定程度の増税は止む得ないとして国民や企業を説得する方向を示したはずです。

稲田朋美元防衛大臣が賛同しています。猪口邦子参院議員もそうでした。

石破茂元幹事長は持って回った言い方ですが理解を示しました。

反対の筆頭格は高市早苗経済安保担当大臣です。西村康稔経産大臣も後ろ向きです。

増税は誰だっていやですがそうしない限り賄えないならば致し方ありません。

最終結論は先送りとなりましたが岸田総理はき然と対応して欲しいです。

防衛は国家の基本です。政権を担う政治家の覚悟を見る格好の題材です。

発言ひとつひとつに政治家の信念のありなしが現われます。今後も目を凝らします。