人生100年時代の生涯現役の生き方

母が昨年100歳になり人生観変わりました。
足と耳は不自由になったとはいえ頭はしっかりしてます。
新聞を読み十二分に理解できます。
脳トレのテキストを愛用してます。
お正月訪れたひ孫たちに勉強しないと激励してました。

高齢でも知的活動はできると確信しました。
若いころのように動き回るのはできません。
座っての営みならば若いころとほぼ一緒の作業ができます。
文筆ならば経験を積んでますので若いころ以上の仕事ができるかもしれません。
相談事も練達の知恵を助言できる可能性高いです。
死ぬまでそれなりに社会に役立つ人生は魅力的です。
人生のまっとうの仕方として目指すべき姿だと思います。

著名な方では瀬戸内寂聴さんがそんな人生です。
100歳を超えて亡くなる直前まで人生相談を続けていました。
瀬戸内さんと交流があった野中広務元官房長官さんもそうです。
90歳を超えても後輩政治家の疑問に応える指南役でした。
私が年に数回訪問し卓見を拝聴している杉田廣善さんもです。
今年93歳ですが知的活動は衰えを全く知りません。
月に一回定期的に会誌を発行し所見を発表されてます。

NHKEテレの「こころの時代」で思想研究家の渡辺京二さんを取り上げてました。
昨年暮れに92歳で亡くなったことを放送で知りました。
渡辺さんも生涯現役で亡くなる直前まで評論活動を続けいました。
渡辺さんの著作が私の書棚に6冊あります。
渡辺さんの生涯のテーマは名もなき小さきものの生と死を凝視することです。
そのものずばり『小さきものの死』という題名の評論集もあります。

渡辺さんがこうした仕事の構えを確立したのは水俣病に向き合ったことです。
ふるさと熊本で発生した一大公害事件を問い続けました。
主婦だった石牟礼道子さんに出会いました。
石牟礼さんの執筆を支え『苦海浄土』という珠玉の作品にまとめる原動力となりました。

渡辺さん自身も著述活動を続けました。
もっとも有名なのは『逝きし世の面影』です。
明治以降近代になって失われていった江戸期の面影を追ってます。
幕末維新期の名もなき人たちの振る舞いを訪日外国人の視点から記しています。
暮らしぶりの清潔さや明るさを讃えています。
江戸時代からの暮らしぶりが評価されていることを明らかにしました。
渡辺さんのこの著書はこの時期の民衆史を考える必読文献となってます。
渡辺さんは生涯現役を果たしたひとりです。
私もこのような人生を歩みたいものだと切望します。