公共事業の危機にもっと目を向けよう。

今年度上半期に行われた国立病院関係の建設工事25件中21件の入札が成立しなかったと報道されました。異常事態です。

国立病院だけに限られる問題ではありません。国、地方を問わず公共事業の入札が不調に終わる割合が増えていると指摘されています。

熟練技術者不足で人件費が上がっていること、東日本大震災の復興工事などで資材が不足し価格が高騰していることなどが理由として挙げられています。

小泉政権の時以来、公共事業に対する効率化を求める政策が重視されてきました。業者を競争させてより安い価格で入札を展開してきました。

業者も無理をしてきた側面があります。倒産や廃業する業者が相次ぎました。神奈川県西部の中心都市小田原では地元最大手も経営危機に陥りました。

大手を中心に業者が反撃に出ている側面もあると思います。これまでの損を取り返すためにより儲けを確保しようと強気になっているように見えます。

国会で国土強靭化基本法案で審議中です。成立すれば防災対策を中心に公共事業の大盤振る舞い政策が展開されることは確実です。

さらに東京オリンピック関連工事もどんどん出てくるでしょう。公共事業は、さらに事業費がかさみ再びバブルの時代に入る恐れが強いです。

財源は建設国債が中心です。未来世代に遺産が残るとは言え借金に変わりはありません。借金で無理やりでっち上げたバブルということになります。

この際、しこたま儲けようとしている大手企業を国家が防災の名のもとに後押ししている格好です。公共事業でも大政翼賛体制が進んでいます。

もう一つ危険な匂いがします。大型の公共事業の乱発で事業費の高騰がもたらされてその事業を外国の企業がかっさらうという構図です。

TPPは公共事業に対する外国企業の参入障壁を取り払います。日本国民の血税が無駄な公共事業に使われ外国企業に流れるとしたら踏んだり蹴ったりです。