命がけの民主化闘争に学ぶ

NHKEテレで「100分de名著」という番組があります。
今放送中はジーン・シャープの『独裁体制から民主主義』です。
書店で偶然テキストを手に取り内容に驚きそれからテレビを見ました。
いつもは著者か著書を知っていて興味があるから見ます。
今回は全く知りませんでした。

昨年2月のロシアによるウクライナによる軍事侵攻は世界に衝撃を与えました。
こうした暴虐があからさまに行われる時代にいまだいることに驚きました。
今年に入り戦闘は更に激化し危機は深まる一方に見えます。
こうした険悪な時代に読むべき著書は何なのかいつも頭の片隅にあります。
国際軍事情勢やロシア史、結構手あたり次第に読んでます。

ジーン・シャープの『独裁体制から民主主義』もそうした関心から手に取りました。
中身は予期していた内容とは異なりました。
非暴力による徹底的な抵抗運動の教科書なのです。

テキストを読み進めていくうちに現代の日本にも通じる本だと思い直しました。
日本は独裁国家ではありません。民主主義国です。
それでも独裁国家とも受け止められる事象に出くわすことがあります。
「忖度(そんたく)」という言葉が注目されているところに表れています。

本当は間違っていると思っていてもその場の空気で発言をためらうことはあります。
いわゆる「空気」による支配です。
どんな組織でも強力な指導者が鎮座している時はそうなりがちです。
結果として組織が道を誤り転落の憂き目を見ることがあります。

こうした現象は民主主義国の独裁国家症候群と名付けられると思います。
身体を張って言うべきことを言う人物が出ないと大勢順応な日常となります。
民主主義国における独裁国家症候群は民衆への弾圧とかあからさまな圧力はありません。
その代わり社会の刷新が進みません。前例踏襲が続き停滞です。
日本の社会全体がこの病にかかり重症だと言って良いと思います。

ジーン・シャープに学ぶところ大だと思います。
どんなに強大な壁に思える独裁体制も非暴力の抵抗で崩壊することがあると語ってます。
ただし緻密な総合戦略や絶対にやれるという強じんな意志が要ると説いてます。
抵抗する人々は命がけです。

それに比較すれば民主主義国での抵抗ははるかに容易です。
新たな事業への挑戦も同様です。
民主主義国で現状を変えたいと思うならば行動するのは自由です。
勇気の欠如が邪魔しているだけです。
ジーン・シャープの著書に尻を叩かれた思いをしました。