欲望を捨ててこそ浮かぶ瀬あり

政治の世界、とりわけ永田町は欲望渦巻く世界です。
我欲で目が曇り墓穴を掘ることは日常茶飯事です。
欲望をコントロールする胆力が必要です。
昨今この胆力の持ち主が見当たりません。
欲望が透けて見え底が浅いか、ひ弱な迫力不足の政治家が目につきます。

岸田総理は毛色の変わった部類に属します。
欲望はぎらついておらず権力欲に絡めとられてはいません。
総裁選に出るくらいですので権力を操りたい欲望は有してます。
大物政治家と呼ぶには物足りませんが陣笠ではありません。
それなりの能力を持つ政治家という名のサラリーマンのような印象です。

防衛費の増強に人口減少・少子高齢化。
サラリーマン型宰相の岸田総理は重い課題と直面してます。
国家の根幹を揺るがす課題に大胆に立ち向かう器量はなさそうです。
欲望丸出しではありませんので大けがせずこなす作法は知ってます。

岸田総理の任期は2024年9月まで。間もなく任期半ばです。
G7広島サミットと重なります。サミットが節目となることは確実です。
統一地方選や衆院補選がありますが大勢には影響はないと思います。
サミット後から政局は動きます。政争を控えるべきとの心理的抵抗が薄れるからです。
9月の内閣改造・党役員人事は見ものです。
岸田・麻生・茂木の主流3派連合は体制強化に動くはずです。

焦点は連立政権の組み換えがあるかないかカギを握るのは国民民主党です。
国民民主党が連立へと舵を切れば政局は変転します。
どの勢力まで巻き込めるか注目です。
国民民主党だけの連立参加ならさざ波です。
幅広い勢力が参加となれば挙国一致型に近づきます。

新連立政権が成立すれば岸田総理は翌年の9月までの総裁任期は安泰です。
この間に“異次元”の少子化対策などが実現の運びとなるでしょう。
防衛費の増額と財源確保も落としどころは探れるはずです。
最大の課題は憲法改正となります。
岸田総理はぎりぎりまで迷うと思います。
サラリーマン型宰相にとってあまりに大きな課題だからです。

私の読みは先送りです。引き換えに1期3年で勇退です。
次の総理・総裁に託することで任期は完全に全うできます。
解散・総選挙は新しい総理のもとで実施されることになります。
かつて宏池会の大先輩鈴木善幸総理は1期2年で退陣しました。
引き継いだのは中曽根総理。同じ道を歩むように思えてなりません。
欲望を最後の最後に捨てることで任期まで生き延びる。
サラリーマン型宰相らしい生き様です。

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