日本のリベラルが目指すものは何か

おととい保守とは何を守るかがわからなくなってきていると述べました。
また何を変革しようとしているかも同様に不明だとの見方も示しました。
このわかりにくさは保守に限りません。
対抗する側の勢力の理念をもおぼろげにしてしまいます。

保守に対抗する陣営を総称する言い方は革新あるいは急進が本来です。
東西冷戦が終わってからはこうした言い方が流行りません。
代わりに一般的に使われているのはリベラルです。
政治学者の宇野重規さんはこの言い方にも頭を抱えてます。

リベラルは自由を尊重するという意味で使われます。
日本の場合は自由とは勝手気ままという意味あいが相当程度含まれます。
本来の意味は異なります。
自由とは相手の立場を尊重する姿勢があって初めて成立する考え方です。
自分勝手に振る舞えると考えるのは大間違いです。
翻訳のミスと言ってしまえばそれまでですがいまさら元に戻せません。
本来の自由の意味を十二分に注意して自由という言葉を使うしかありません。

そうした立場からリベラルを語ると多様性を重視する立場と位置付けるのが適当です。
保守が伝統を重視する立場から多様性を排除する際に特に対抗する考え方となります。
ジェンダー平等とか性的少数者への対応姿勢がいちばん端的です。
アメリカの共和党と民主党はこの点ははっきり分かれていて解りやすいです。
ジェンダー平等や性的少数者への対応について共和党は消極的、民主党は積極的です。

日本はアメリカほど鮮明ではありません。
鮮明にするための努力はリベラル側が努力する必要があります。
積極的にリベラル的価値を主張し社会に定着させるよう努める姿勢が大切です。
保守側の変容を待っていては時間ばかり経過してしまいます。
リベラルと称する側の政治家たちがより積極的に動くことは責務だと言えます。

もうひとつリベラルの課題があります。
保守側の地方自治への姿勢の変化に対抗軸が打ち出せていません。
保守は国家が意図する地方自治イメージが明確にありそれに適合させる方向です。
地方自治体に競争させて国家の意図に沿うよう補助金をつけ支援します。
国家戦略特区が典型です。小泉純一郎内閣から鮮明になりました。

この方向性は真の意味の地方自治意識は育てません。
国家が主導する地方自治という論理矛盾に陥ります。
地方側の自立の意識を促す方向性が必要です。
自らの地域は自ら創る自覚は自治の基本です。
リベラル側が問題提起するべき重大課題です。