小さくてもキラリと輝く真鶴町へ
私の町づくりの基本精神は「小さくてもキラリ」です。
2023年度の神奈川大学政策過程論はこれをテーマにして講義します。
小さい方が全体を把握しやすく思い切った施策を打てます。
成果も出しやすいです。
成功実例が開成町です。
厳格な都市計画を土台に開発と環境保全のバランスを取りました。
美しい田園空間と整備された開発が両立しました。
人口は増え続け子供の数も増加しました。
私が町長になった1998年2月12800人だった人口が今18755人です。
新しい小学校が2010年に開校し子供の数は依然堅調です。
町の面積が6.55平方キロと神奈川県最小で平坦な町だからできたことです。
的確な施策があれば「小さくてもキラリ」は実現できます。
私が今注目しているのは真鶴町です。
神奈川県内で開成町に次ぐ小さな町です。
山と海が近く真鶴半島の美しさは天下一品です。
小松石の産地です。漁業も盛んでした。
先日70代の小田原の知人から聞いた話です。
その方が子供の頃は真鶴町にお嫁に行くことは喜ばしい出来事でした。
「お金持ちの町に嫁げて良かったね。」と言われたそうです。
今は昔の物語となってます。
人口減少は著しく神奈川県唯一の過疎地域となってます。
交通の便は決して悪くありません。
東海道本線の駅があり道路も整備されてます。
何か根本的なところに原因があったとしか思えません。
私が着目しているのは真鶴町のまちづくり条例です。
1980年代末から90年代初めのバブル経済下の乱開発を止める効果がありました。
「美の基準」を制定し美しい景観を守ったと評価は高いです。
水の供給に難題を抱える町にとってマンション乱立は大問題です。
当時の三木町長は思い切った規制手段に出ました。
三木町長の決断は乱開発を止めたと言えます。一方で副作用もありました。
まちづくり条例から30年真鶴町の疲弊は進みました。
景観を守っても人が住まなくなってしまっては功績は減じます。
規制が強過ぎたのではないかという観点からの点検が必要です。
開発と環境保全のバランスを取る方向を模索すべき時期ではないでしょうか。
現在真鶴町は政争に明け暮れていて危機に瀕した町の姿だとは到底思えません。
早く落ち着きを取り戻し本来の政治の姿に戻すべきです。
過疎の町からの脱却を真剣に考える時だと思えてなりません。
松本町長の責任は重いです。
新年度からは堂々とまちづくりの構想を打ち出し問題提起すべきだと思います。