総理を目指す政治家に「所管外」はない

河野デジタル大臣が注目されてます。
“所管外”答弁のことではありません。所管の消費行政に関することです。
4月から大幅な電力料金値上げの方針が明らかになってます。
河野大臣は値上げ申請を行っている電力各社のトップと会談しました。
消費者行政所管として値上げ幅の抑制を目論んでの行動だとされてます。

食料品やガソリン代などの相次ぐ値上げは庶民の暮らしを直撃してます。
電力料金の値上げ幅を抑えてくれるならそれにこしたことはありません。
河野大臣はひと昔前のヒーロー正義の味方月光仮面のように目に映ります。
口に出せない庶民の思いの代弁者みたいだからです。

しかし掘り下げてみるとそう単純ではありません。
河野大臣が値上げを抑制しようとする根拠は電力会社の不祥事です。
大手電力会社の社員が不正に強豪会社の顧客情報を閲覧していたことが明るみに出ました。
関西電力をはじめ大手電力会社10社が関わったと報じられてます。
関電を最初に挙げたのは営業活動に利用していたとされているからです。

このほかにも関電は不祥事だらけです。
会社の最高幹部らが原発立地町の助役から3億6千万円もの金品を受け取っていました。
翌年には不正カルテルを結んでいた疑惑で公正取引委員会から調査を受けてます。
河野大臣としては消費者の不信を招いている中で値上げは許されないということです。
しかし関電と中部と九州は今回値上げを申請してません。
関電と九電の共通項は原発が再稼働していることです。
中部は自助努力で値上げ申請しないということでしょう。

河野大臣の値上げ阻止の行動の正当性を考えて見ましょう。
河野大臣は脱原発派でしたが今は口をつぐんでます。
つい最近も衆議院の予算委員会で「所管外」を口実に答弁拒否しました。
原発が稼働していれば料金値上げが避けられる現状は河野大臣にとっては悪い冗談です。
総理大臣を目指す上で永遠に突っ込まれる課題です。
それでもあえて値上げ阻止に踏み込み姿勢を是と見るかどうかです。
賭けに出たと言えます。

河野大臣は逃げずに正々堂々と説明すべきです。
長期的脱原発の立場は堅持し現実的対応をする。
電力料金については電力各社の自助努力を要請し値上げ幅の圧縮を期待する。
それでも補えないならば政府として庶民の生活を守る措置を講じる。
以上の3本柱を明示し国民の理解を求めるべきです。
一国の総理を目指す人物が「所管外」などと逃げ口上を使うのは宜しくありません。