中国のTPP加盟は理想論
太栄志さんという衆議院議員ご存知でしょうか。
2021年10 月の衆院選神奈川13区で逆転劇を起した方です。
自民党の幹事長だった甘利明さんに小選挙区で勝ち時の人となりました。
甘利さんは責任を取り幹事長を辞任する騒動となりました。
太さんはアメリカの研究機関で国際関係を学んだ専門家です。
太さんが持論を日経新聞紙上に投稿していました。
日本は中国のTPP加盟を後押しすべきだというのです。
中国はグローバル化の波乱要因と見なされるのが昨今の潮流です。
厄介者の中国を自由貿易の枠組みに入れようというのです。
排除ではなく包摂する立場です。
理想的な考え方で魅力を感じるところがあるのは事実です。
しかし一方で危険性も当然あります。
面子を大切にし自我意識が強烈な国です。
すんなりルールを守るかという懸念があります。
強権的な独裁国家に対し宥和的な対応を行ってろくなことはなかったのが歴史です。
いちばん有名なのは第2次世界大戦前にヨーロッパ諸国はナチスに宥和的でした。
ヒトラーはその間に軍事力を蓄え侵略の準備を図りました。
習近平主席がヒトラーのようなことはしないとは断言できません。
いずれ経済力を背景にTPP加盟諸国に対し圧力をかける事態はあり得ると思います。
太さんの発想には中国をまともな国と見なす楽観論があると見ます。
15日のブログに書いたように中国は日本の常識を超えている国だと見るべきです。
ロシアのように粗暴ではないにしてもいざとなれば牙をむくのが強権国家の本質です。
理想的な対応は開き直られた時に取り返しのつかないことになります。
TPP加盟には台湾問題が密接不可分です。
自由貿易と民主主義的ルールを守るのは台湾の方がはるかに上です。
中国の加盟を仮に認めるとしてもそれ以前に台湾の加盟が大前提です。
中国は台湾を国家として認めないので猛反発するでしょう。
中国のTPP加盟は自己矛盾に満ちているのです。
TPPにはアメリカが入ってません。
アメリカ抜きの経済枠組みに中国を入れることは常識ではあり得ません。
太さんの持論は中国を孤児にするなとの警告だと読み解くのが穏当です。
中国との観光交流は止める必要はありません。
日本が自由で民主的な体制を堅持している姿を見てもらいましょう。
中国人民の間に自国のいびつさを理解してもらいましょう。
中国人民の意識の変化は中国の国家体制を変容させるはずです。
気長に待つ以外に手はないと思います。