中島みゆき「乱世」

中島みゆきさんが新作アルバムを出しました。
NHKのSONGSでも紹介してました。
中島さんを尊敬して止まない歌手の工藤静香さんが語ってました。
中島さんの良さが詰まっていますと。

私も早速CDを購入し繰り返し聴いてます。
深い歌詞が力強い歌声に乗ってきます。
「乱世」というタイトルが気になりました。
「乱世」と聞くと血が騒ぐたちだからです。

乱世に生まれ 乱世に暮らす と歌い出します。
逆らってた 苛立っていた 歯向かってた とんがってた…と続きます。
次が聞かせます。怖いのを隠してた となってます。
中島さんの歌詞の深さが凝縮してます。
確かに声高さの背後に横たわっているのは恐怖です。

怖れから逃げ出したい行動が攻撃との見方は真理を抉ってます。
争うしかほかに術を知らない生き方に虚しさを感じてしまいます。
中島さんも、どうなりたかったんだっけと 首をひねる今 と歌います。
原点に戻るしかありません。

中島さんはDNAに問います。
何処まで遠くまで運べというの と。
DNAに告げます。
突然変異に気をつけるんだね と。

私の詩の解釈は次の通りです。
DNAとは自らの奥深くに宿る人生を差配するパワーです。
どこまで乱世を試練と受け止めて生きていけばいいのと恨み言を言っています。
そのうち突然変異してしまうからもしれないと開き直ってます。

この気持ち理解できます。
人生は試練の連続、乗り越えられないはずはないと自らを奮い立たせます。
時には気持ちが折れそうになります。
中島さんはそんな時の心の叫びを歌っているように思います。

最後の歌詞がしゃれてます。
風が笑っているよ 風が笑っているよ 誰のものでもない 2回繰り返します。
人生をあるがままに受け止めた時の爽快感があります。
風のようなすがすがしさです。

この心境に達することができれば乱世は乗り越えられます。
世の中が揺らぐことを受け入れることが可能になるからです。
その心境は優雅ささえ感じさせます。

あれこれ騒ぎ立てていても怖れからの逃走です。
よくよく考えれば変化が怖くて自分を守っているだけです。
守る気持ちを捨てた時にやって来るのはすがすがしさです。
変化を許容できる真の強さをもたらします。