必勝しゃもじ考
岸田総理が21日電撃的にウクライナを訪問しゼレンスキー大統領と会談しました。
訪問はG7の議長国でもあり当然だと思います。
5月のG7広島サミットはウクライナ支援を確認する場です。
議長国のトップなのに未訪問では様になりません。
ところが思わぬところから騒ぎが広がりました。
岸田総理が地元広島名産の大型しゃもじをゼレンスキー大統領に贈りました。
必勝と書かれていたことが日本国内で議論となりました。
壮絶な戦いが繰り広げられ多数の死者が出ていて不謹慎だとの批判が野党から出ました。
報道ではウクライナでは喜ばれているということです。
この種の贈り物は外交上の意味合いを込めた儀式の大切な道具です。
贈り物が持つ意味を理解してもらわないと贈る意味がありません。
必勝は短絡に過ぎたとの印象は確かにあります。
もうひとつ平和という文字を書き足す配慮があればよかったです。
ウクライナ語まで併記されれば更に良いです。
しゃもじの色が青と黄色だったりすれば国内外に驚きを与えたはずです。
たかがしゃもじ、されどしゃもじです。
一世一代の名場面らしい演出を考える方がいなかったのは残念です。
電撃訪問だけでは遅ればせで終わってしまいます。
訪問の遅れを挽回する付加価値をつけなくてはなりません。
ウクライナ色に染めたしゃもじに必勝と平和の文字。
日本の外交姿勢を鮮烈に示せたはずです。
ゼレンスキー大統領との会談で必勝しゃもじの由来をそっと伝えるのです。
日露戦争での必勝祈願がルーツだと秘話だとしてささやけばよいと思います。
ゼレンスキー大統領は大喜びでしょう。
ウクライナ側から漏れるかもしれませんが知らぬ存ぜぬで済みます。
日本はロシアの暴虐に断固反対の立場ですのでその姿勢を鮮明にするのは当然です。
一方で平和国家を国是としてきました。
ウクライナ勝利への願いと平和を希求する日本の姿勢をしゃもじに託せたはずです。
貴重なチャンスを失いました。
外交上の贈り物に物語性を持たせるセンスが日本外交には欠けているのかもしれません。
ウクライナへの要人の訪問はこれからもあるはずです。
ひと工夫もふた工夫もしてウクライナ国民の心に響く贈り物を考えて欲しいです。
日露戦争の英雄東郷平八郎元帥を祀る東郷神社の宮司に揮毫してもらうのはどうでしょう。
ウクライナの苦境を踏まえると「臥薪嘗胆」の4文字を贈りたいです。
今は耐え忍ぶ時期、いずれ必ずや反転できるとの思いを込めてです。