奈良県知事選挙から中央政局を読む

奈良県知事選挙で5選を目指した荒井知事が惨敗しました。
10万票に届かず3着に沈みました。
山下新知事は27万票弱ですのでその差はあまりに大きいです。
奈良県政で絶対的権力を誇ったドンの最後は無残でした。

公認知事が誕生し維新の躍進が喧伝されてます。
この事態を引き起こしたのは保守分裂であるのは間違いないです。
分裂が維新の勢いを誘発してしまったとの見方が正しいと思います。
次点候補は20万票弱ですので荒井票と合わせれば勝ってます。

2021年8月の横浜市長選挙を思い出します。
カジノ誘致という一大争点がありました。
林市長はカジノ誘致を貫き自爆した格好です。
現職大臣だった小此木八郎さんはカジノ反対で出馬しました。
カジノ推進の急先鋒だった当時の菅総理はひょう変しました。
小此木市長を目論んだのです。
そう簡単には問屋は卸しません。
野党が担ぐ山中竹春新市長が誕生しました。
明らかに漁夫の利です。

現職の林市長の得票は20万票に届かず3位。
小此木さんは33万票で山中さんは50万票余りでした。
2位と3位の保守票を足すと山中さんより上です。
奈良県知事選挙と瓜二つです。

横浜市長選挙の敗北は政局を直撃しました。
9月の菅総理退陣の引き金になったのは間違いありません。
同じ運命にあるのは高市早苗大臣です。
自民党奈良県連会長ですから当然です。

総務大臣時代の子飼いの部下の平木省さんを擁立しました。
荒井知事との調整が拙かったことが分裂につながりました。
選挙終盤になって荒井知事側に失礼を詫びたという話しです。
芸が足らなかったことを自覚していたからの行動でしょう。

しかしこの方は発想の回路が常人ではありません。
自民党本部が荒井知事を推したのが分裂を招いたと言っているようです。
読売新聞の報道ですが責任のすり替えです。
高市大臣への風当たりがますます強まるのは当然のことです。

広島サミットが終われば政局がきな臭くなります。
9月とみられる党役員内閣改造に向けて駆け引きが活発化します。
人事がことのほか好きに見える岸田総理は高市切りを見越して人選を進めるはずです。
稲田朋美さんが浮上なんてこともあります。
安倍派内に手を入れることができるし高市つぶしの決定打だからです。
補選の結果次第では密かに衆院解散の時期を模索する可能性もないとは言えません。
少なくともうわさは駆け巡るでしょう。
岸田総理が意外にしぶとさを発揮できそうな局面になってきました。