「SDGsは大衆のアヘン」

私はあまのじゃくのところがあります。
みんなが良かれと思って行動していると距離を置く癖があります。
SDGsもそのひとつです。
国連が定めた地球の持続させるために17の目標です。
貧困の撲滅とか飢餓を無くす、質の高い教育を皆になどなど。
大切な目標ばかりで反対しようがありません。

SDGsのバッジを着けている方をしばしば見かけます。
気候変動に具体的な対策をという目標もあります。
バッジを着けたスーツ姿の方にご自身のされていることはと聞きたい衝動に駆られます。

勤務されている企業や官公庁の方針としてSDGsを掲げているのだと思います。
その方個人とは直接関係のないこともありえます。
ごみの分別の仕方すら知らずにSDGsを声高に唱えるといった具合です。
私はそのようなうさん臭さをかぎ取ってしまうところがあるのです。

大阪でカジノ開設が認められました。
大阪市はSDGs宣言をしています。エネルギー資源を大切にする立場です。
その目標と不夜城を建設する方針とは矛盾を感じてなりません。
使用する電力が太陽光などの自然エネルギーならば良いとも限りません。
場内の移動が電気自動車なら免罪符とも限りません。
パネルの生産には資源が必要です。
電気自動車に不可欠な半導体には希少金属が使われ争奪戦となってます。

一連の疑問にズバリと答えているのが斎藤幸平さんです。
今最も注目されている若きマルクス経済思想研究者です。
一般読者向けに書いた『人新世時代の資本論』がベストセラーになりました。
共産主義を提唱したマルクスは共同体の役割を重視しています。
持続可能な社会を創るには共同体を母体にして考えるという発想は私も同意見です。

斎藤さんはSDGsは大衆のアヘンだと言い切ってます。
斎藤さんの考えは経済成長に待ったをかけない限り地球は持続しないというものです。
この冷厳な事実をSDGsは覆う役目を果たしているというのです。
やっている感をあたえてしまうというのです。

この指摘は重いですが具体策を見つけるのは容易ではありません。
斎藤さんは1970年代の暮らしに戻せと主張してます。
昭和の後期の生活水準にして初めて地球は持続すると言ってます。
昭和の暮らしを知る私の世代にとっては郷愁があります。
時計の針をもどせるかどうかは超難問です。
逡巡していいるうちに地球が時間切れを迎えてしまう恐れもあります。
大変な時代に生きているとしか言えないのがつらいところです。

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