土地区画整理事業再考

大規模災害からの復興対策の柱は土地区画整理事業です。
被災地の地権者の土地を集約し道路などの街区を整備し直す手法です。
道路の拡幅や公園の配置と住宅を一体的に整備できるので美しい街区ができます。
地権者から一定割合で土地を提供してもらうことになり合意が取り付けにくいです。
費用と時間がかかるのも難点です。

開成町は土地区画整理事業を平時において積極的に活用しました。
町南部地域の開発用地は美しい街区が広がり人口増につながりました。
ただし合意形成には手間取りました。27ヘクタールで73億円です。
時間とお金はかかりましたが人口と子どもの数の増加をもたらしました。

災害復興策の柱のこの手法に疑問符が示され始めてます。
5月8日付の日経新聞で東京都立大の饗庭信教授が人口減少時代との関連で指摘してます。
3・11東日本大震災からの復興策としても土地区画整理事業方式が採用されました。
しかし住宅再建は順調にはかどっていません。饗庭さんによると計画の半分とのことです。
行政機関も被害を受け計画策定に時間がかかり過ぎたことを挙げています。

それ以上に根本的な疑問として人口減少時代に適した手法か後の疑問を投げかけてます。
饗庭さんの指摘は見過ごせないと思います。
土地区画整理事業方式は人口が右肩上がりに増えることを前提にしているからです。
人口減少局面に入った現代日本において再検討は必定です。

どんなに美しい街区を整備したところで住んでくれなければ意味をなしません。
だからといって素早く整備することはそもそもできません。
大都市部のように人口増加が見込まれる地域限定の手法と位置付け直すことが必要です。
人口減少が顕著な地域においては簡便な手法で対応する時代となりました。

大都市部においてもこれまで通りの土地区画整備事業とはいきません。
樹木の面積を増やしたりビルの緑化なども想定すべきです。
ごみの集積場所だけでなく電気自動車ステーションの整備も考えなくてはなりません。
電線の地中化ではなく電線そのものが要らない街区も考えられる時代となりました。

再び開成町に話題をもどします。
小田急線開成駅から土地区画整理事業で生み出された街区へと道路建設が予定されてます。
現代の開発に相応しい街路建設に向け知恵を絞って欲しいです。
環境に配慮し賑わいも創出できる街路を期待します。
視野を世界に広げ参考となる事例を入念にチェックし理想を求めて欲しいです。