岸田総理の強みと弱み

民意を直接代表するリーダーの登場を待ち望んでいる。
こんな世論調査の結果が10日付の朝日新聞に掲載されてました。
朝日新聞と東大の谷口将紀研究室の合同調査です。
有効回答1967人中86%の人がそう答えてます。
政治の現状に満足していない実態を表してます。

一方で無力感も強いのです。
政府を左右する力はないと思う人は58%。思わない人は18%です。
無党派層に限定してみると65%が左右する力はないと考えてます。
不満があるのにどうしょうもないと思っているということです。

2012年の衆院選から自民党1強時代が続いている影響だと見てました。
自民党が政権に復帰して10年以上が経過して不満は徐々に高まっているのです。
しかし不満を受け止めてくれる政党がなく戸惑っているのです。

先月の統一地方選での維新の躍進もこの文脈で読み解けます。
維新が受け皿となってくれるかもしれないとの期待感の現れです。
まだ確実ではありません。
大きく飛躍するかどうかは今後にかかっています。

同日の朝日新聞に著名な政治学者の御厨貴さんのインタビュー記事が載ってました。
岸田総理について歯に衣着せぬ評価を語ってました。
岸田総理は深く考えずに目の前の状況で速断するというのです。
確かに安倍前総理の銃撃事件を受けての国葬の決定は素早いというか拙速でした。
御厨さんは原発政策を簡単に転換させたことを事例に挙げてました。

深く考えないということは悩まないのです。
御厨さんは無頓着と表現してます。
こういったタイプのリーダーは何を言われても動じない強さがあります。
御厨さんはこの点に関しては生まれついての宰相かもしれないと皮肉めいた言い回しです。

育ちの良い面の皮の厚さと言い換えたらどうでしょう。
周囲の心配をよそに受け流しているうち内閣支持率も上がってきました。
サミットを乗り切れば更なる順風が吹くかと期待しているかもしれません。

御厨さんは緊急事態に意外に弱いと見てました。
大変なことがないことを前提にしているからというのが理由でした。
私は有権者の意識に横たわる現状への不満が岸田政権のいちばんの大敵だと思います。
いつ逆風に転じるかわからない不透明さの上に岸田政権はあるのです。

日本が危機の真っただ中にいるのは自明です。
無頓着だけでは乗り切れません。
危機感の共有を国民に呼びかけともに乗り切る決意を示すことが必要です。
その際の絶対条件は真に自分の言葉を使ってです。