組織のトップに評論家は要らない

“のーてんき”とはこういうことだろうと思いました。
12日の日経新聞の一面トップ記事です。
郵便局網「整理が必要」と大見出しが掲げられてました。
2040年がひとつのめどとなり30年代後半から本格検討となってました。

日本郵政社長の増田寛也さんの発言です。
増田さんは71歳で2040年には米寿を迎えますので引退してます。
任期中には何もやらないと言っているに等しいです。
組織の長が評論しているのです。いただけません。

この手の人物が社会基盤の中核をなす組織の長で大丈夫かと思います。
増田さんは元建設官僚で岩手県知事を3期務めました。
安倍、福田内閣で総務大臣も務めました。
その後東京都知事選で小池百合子知事と戦い敗れた経験もあります。
菅義偉前総理の押しで現在の地位を得たと思います。

私は3年間増田さんと頻繁に顔を合わせていたことがあります。
内閣府の地方分権改革推進委員会委員だった時です。
増田さんは委員長を補佐する重要な立場でした。
私は町村を代表する位置づけのいち委員でした。

委員会が進めたい方向をわきまえてきぱきと仕事をこなす印象が強かったです。
暴論をはくようなことはいっさいありません。
任せて安心というか使い勝手の良い人財だと思いました。

増田さんを一躍時の人にしたのは『地方消滅』でした。
2014年に出版された中公新書が大きな反響を呼びました。
2040年に896の自治体が消滅しかねないと警告を発しました。
郵便局の整理が必要だとしている年と同じです。
消滅都市と郵便局の消滅が重なります。

『地方消滅』出版の時も増田さんは評論をしていただけです。
本当の本気ならばのんびりしていられるはずはありません。
全国を行脚して市町村長を喚起して回ったはずです。
日本郵政の社長に座っている暇はないはずです。

使い勝手の良い官僚気質の方が重要組織のトップに座ることは危機を深刻化させます。
もっともらしいことを理路整然と述べますので幻惑されます。
実際は何もしない訳ですので時間だけが過ぎ危機は深刻度を増すというからくりです。
これでは活力がそがれ日本が衰退するのも当然です。

菅前総理の罪は大きいと言えます。
都知事選に担ぎ上げて落としてしまった罪滅ぼしだったかもしれません。
日本国のことを考えての判断ではありません。
増田さんへの配慮を示すことで自らの人事をめぐる力量を誇示しただけです。
菅さんの人を見る眼の曇りも同時に示すことになります。