まちづくりイノベーションが日本を救う

新進気鋭のイノベーション研究者の清水洋さんの著書を読みました。
『野生化するイノベーション』というタイトルの新潮選書です。
イノベーションは「創新」と翻訳されてます。
経済社会を一新させるような技術開発と捉えるとわかりやすいです。

日本のイノベーション力が低下してます。
アップル、アマゾン、フェイスブック、テスラ…みんなアメリカ企業です。
ソニーのウォークマン、ホンダのCVCCエンジン、今は昔の物語です。
清水さんはその原因について研究開発人財の流動性が低いことを挙げています。
アメリカではビジネスチャンスがあれば外に飛び出し起業します。
日本は大きな組織に留まる傾向が強いです。

長年にわたり培われた態度ですので一朝一夕には変わりません。
日本では目の覚めるような技術は生まれにくいでしょう。
企業も稼ぐ力が低下してくると研究開発がおろそかになります。
日本は基礎研究を企業に依存してきた側面が強いのでイノベーション力は弱まります。
踏んだり蹴ったりで先行き暗いです。

まちづくり分野でも同様な傾向にあると思います。
人口減少・少子高齢化の危機に真正面から立ち向かっている市町村は少数派です。
市町村行政は長らく国の指示に基づく横並びが基本姿勢でした。
大胆不敵に踏み出すことに腰が引けるのでしょう。
経済社会の低迷を招いている原因と共通性があると思います。

冒険者が出てきました。
代表例が兵庫県明石市の前市長泉房穂さんです。
最近の新聞に著書の出版広告がありました。
タイトルが『政治はケンカだ!』となってました。
暴れまくった泉さんらしい著書名です。

泉さんはいわばモンスター。
反対勢力と徹底的に闘って人口減少少子高齢化に打ち勝ったのですから大したものです。
子育て支援に資源を集中し経済社会の転換を断行する政策はイノベーションです。
モンスター泉はまちづくりイノベーターでもありました。

泉さんを政治上の師と仰ぐ元湯河原町議の土屋由希子さん。
ほとばしる情熱と抜きんでた行動力の持ち主です。
町長選でモンスターと攻撃されたほどです。
私は言い得て妙だと納得してました。
モンスターばりの情熱と行動力がなければ町は変えられないと思ったからです。
しかし有権者の判断は異なりました。

日本は衰退の道を進んでます。もっと危機感を持って欲しいです。
全国各地域でまちづくりイノベーションを起す時との思いは強まる一方です。
時間切れになりやしないか心配でなりません。