ロシアからアメリカの”衛星国”と見なされる日本の防衛論

ロシアは戦後日本を独立国ではなくアメリカの衛星国と見なしている。
床屋政談なら盛り上がっておしまいです。
発言の主が元外務省職員となると聞き耳を立てざるを得ません。

昨日40歳前後のアラフォーへの期待をブログにしました。
紹介したひとりが元外務省職員の亀山陽司さんです。
『ロシアの眼から見た日本』を購入しました。
新書ですので3日もあれば読了できます。
ただし中身は読み応え十二分です。

1956年に日ソ共同宣言で国交正常化しました。
日米安保を当時のソビエト現在のロシアが容認したことに意味があるというのです。
端的に言えばアメリカの衛星国日本の承認です。
日米の関係を断ち切ることをあきらめたということになります。

日本を真の独立国でないと見ているとしたら領土交渉なんて成り立ちません。
亀山さんはロシアが獲得した領土を手放すことはないと見てます。
安倍政権下でプーチン大統領との間で交渉が進んだかのようでした。
安倍官邸官僚の先走りしたとの観測です。

ロシアの言う通り日本がアメリカの衛星国だとしましょう。
日本が取るべき安全保障政策はアメリカに左右される現実を受け止めるしかありません。
アメリカは極東地域で突出した覇権国が出現するの嫌い阻止しようとします。
いちばんの標的になっているのは経済大国となった中国です。
中国による覇権阻止のため勢力バランスを取るのが戦略となります。

亀山さんは現代の「小日本主義」という考え方を示してます。
中国やロシア北朝鮮の脅威に対抗しなければならないのは当然です。
日米安保に基づきアメリカと共同歩調をとる基本路線は揺るぎません。
そもそも衛星国なのですから自力で対抗できません。
アメリカを引きつけて置くしかありません。

ただし軍事力でバランスを取ろうとすることを懸念してます。
焦点の日本の反撃能力で考えて見ましょう。
反撃は本当に可能なのかどこまで備えればよいか不透明です。
基地の設置場所は容易に決められません。
軍事より外交力をもっと活用すべきというのが亀山さんの結論です。

外交と軍事は別物です。
外交は落としどころを見つけることに主眼があります。
軍事は白か黒かの決着です。

防衛力強化が止む得ない状況であることは十二分に理解します。
しかし日本には机上の軍事論が暴走した苦い過去の歴史があります。
丁寧な検討を重ねる慎重さが不可欠だと思います。
軍事力強化論が突出し緊張激化を招くことは避けなくてはなりません。