”童話は童話、世界は世界”の悲しい現状を越えるために

G7 広島サミットで核廃絶に向け前進したのでしょうか。
ロシアの核の脅しは続いてます。
力の信奉者プーチン大統領にとって核廃絶は戯言でしょう。

北朝鮮の金正恩総書記の命綱は核です。
妥協したら体制が維持できないと思っていることでしょう。
中国も着々と核戦力を向上させていると言われます。
この国は決してオープンにはしないずるさがあります。

G7側が美辞麗句を並べたところで効果は期待できません。
その気がない国々相手には善意は通じないからです。
非核保有国がどんなに叫んだところで壁はとてつもなく厚いです。

広島の被爆者たちの心の叫びは理解できます。
核廃絶運動を続けている民間組織の粘り強さには敬服します。
しかし理想と現実のギャップはあまりに大きいこともまた事実です。

中島みゆきさんの最新アルバムの中の一曲「童話」。
「目を醒まして見るのは 片付かない結末 どうして 善い人が まだ泣いているの 童話は童話 世界は世界 子どもたちに何んといえばよいのだろう」

童話は子どもたちに夢を与える物語です。
中島さんはその虚しさもっと言えば偽善性を歌詞に込めました。
中島さんの心の奥底のやるせなさが響いてきます。
童話は童話、世界は世界だと割り切るしかないのでしょうか。

感受性の鋭い子供は大人の欺瞞を見破っているかもしれません。
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは恐らくそんな子供でした。
大人たちの地球環境の保全を訴える言葉を激しく問いました。
行動しないでいつまで先送りするの!と。
グレタさんは言行一致、今も活動を続けています。

しかし多くの子供たちは大人になると分別を身に着け声高に言うのを控えます。
心の奥底ではこれではいけないと思っているのですが行動に移すのは避けます。
現状への無力感が行動することに対しさらに臆病にします。

核廃絶にしても地球温暖化にしても人類の生存を脅かす危機です。
この厳然たる事実を前にしても人類全体の前向きな行動が乏しいのはなぜでしょう。
私は小さい目に見える範囲の中に大きな危機の種を見つけ対処することだと思います。
核廃絶も地球温暖化も小さな範囲でできることを実践することです。
小さな動きがやがて地球全体のうねりになる道を目指すのです。

迂遠なようですがもっとも地に足がついた確実な方法です。
そのうち人類全体が目覚める時が来るはずです。
ただし気づいて意識を転換させた時には手遅れという懸念は残ります。