国際的なトップセールスで企業誘致を

日本経済が絶好調だった1980年代、アジアの4小竜と呼ばれた国々がありました。
韓国、台湾、香港、シンガポールです。
雁行型の発展という言葉もありました。
雁の集団のように日本を先頭にして一団になってアジア経済が発展するイメージです。

30年が経過し状況は一変しました。
坂道を転げ落ちる日本経済を支えるのがアジアの4小竜です。
台湾の世界的半導体メーカーTSMCは熊本に新工場の立地です。
日本政府直々の誘致で巨額な補助金がつきました。

工場建設が急ピッチで進む熊本県の町では住宅バブルが起きているとのことです。
台湾人従業員の住居探しが熱を帯びているからです。
地域経済も国の経済安全保障も台湾に救われているのがわかります。

韓国の巨大電器産業グループサムスンは研究開発拠点を横浜に定めました。
領事館があり韓国と縁が深く国際的な港湾都市であるので立地を決めたのでしょう。
日韓の経済連帯の強化を示す象徴的な投資だと思いました。
サムスンもパナソニックやシャープの背中を見て成長してきました。
立場は入れ替わりました。

神奈川大学でのまちづくり講義進行中です。今週は企業誘致がテーマでした。
富士フイルム先進研究所の誘致を題材に学生に解説しました。
私が強調したのはトップの役割の重大さです。
小さな町にとって企業誘致は町の将来を左右する一大事業です。
降って湧いてくるケースでない限りトップの力量で成否が左右されます。

第一に経済の潮流を読み取らなければなりません。
1990年代はデジタル化が急速に進みました。
写真フイルム業界にとっては死活問題でしたので急を要しました。
そこに着目し私の判断で富士フイルムに照準を絞りました。

米中対立、ロシアのウクライナ侵攻は日本を取り巻く安全保障環境を激変させました。
経済情勢も政治に引きずられ急変です。
ロシアはもちろんのこと中国との関係深化はリスクを伴います。
アジアの成長力を取り込むためには中国以外に活路を見いだす必要があります。
中国に飲み込まれた香港は別にして台湾、韓国、シンガポールは狙い目です。
GDP=国内総生産額が日本を間もなく抜くインドも対象となるでしょう。

神奈川県西部地域は有力企業が次々と撤退してます。
古い順に第一生命、日立、アサヒビール。跡地の本格活用が急務です。
自治体トップがトップセールスを展開するチャンスです。
国際的な視野を持って誘致企業を求める挑戦の旅に出かけて欲しいです。