異端の農業経済学者に食料自給率を聞く

5日「地域密着で資源循環型の企業誘致を考える」というブログを書きました。
再生可能エネルギーで食料の生産基地を創ろうとのアイデアです。
この中で日本の抱える危機として食糧自給率に触れました。
開成町議の山下純夫さんよりコメントがありました。

カロリーベースで語られる食料自給率に対し疑義を呈してました。
山下さんは4月の町議選で当選した気鋭の町議です。
町議でありながら「開成町から日本再生」をぶち上げてました。

大風呂敷を広げる自信がある方のコメントだけに調べてみようと思い立ちました。
正統派の学者に聞いても農水省の立場と変わらないでしょうから異端の方に問いました。
明治学院大学で農業経済学を教えている神門善久教授です。

2006年に刊行された『日本の食と農』で注目を集めました。
メールでのやり取りの後8日に直接大学を訪問しました。一刀両断でした。
食料自給率を見る大前提に目をつぶり数字を云々することを戒められました。
世界的に見て食糧は人口増加率を上回り一貫して供給過剰状態にあります。
輸入農産物を購入する余裕がある日本も同様です。

神門さんは飽食日本の現実を直視して食糧問題を論じるべきだというのです。
食べ散らかしておきながら自給率を語る資格があるかということです。
飽食状態で自給率を上げたらどうなるか想像力が欠如していると憤慨してました。
新興国の食料の輸出を奪い取り打撃を与えると分析してました。

どうすればよいか聞きました。
安定的な食料の生産と消費の在り方を模索する必要があるとのことでした。
欲望を満たすために食料増産すること自体の過ちを問いかけていました。
神門さんの議論は食糧問題を見る見方が異なっているのです。

生産者がいない農地を無理して維持する必要はないとまで言い切ってました。
子供たちが自由に遊べる農園のような形で維持するプランを考えているようでした。
平地を農地にしたこと自体が日本の近代農業の結果だというのです。
効率的な大量生産を目指したのです。
そのやり方が限界に来ているのなら別の土地利用を考えるべきというのです。

あっという間に2時間が過ぎました。
神門さんとの議論はまだ続きます。12日にあじさい祭りに来られます。
頭の整理がつかないまま帰りの電車に飛び乗りました。
明治学院大学の最寄り駅は東京メトロ白金高輪駅です。
ホームに到着した電車は何と海老名行きの急行でした。
都心との直通運転の威力を感じました。