教え込むから引き出す教育へ

8日のブログで「脱学校の社会」について書きました。
東洋英和女学院大学元講師の山口隆博さんより感想を頂戴しました。
地元紙に掲載された山口さんの教育についての論考が添付されてました。

3回連載それぞれにタイトルがついてます。
「私には夢がある」「子供たちはみなよく生きようとしている」「みんな違ってみんないい」。
山口さんの教育に対するほとばしる思いが凝縮されています。
基本的な考えは「上から教え込む時代」を早く終焉させたいということだと思います。
教育は国家のためではなくひとりひとりのためにあります。
子供たちの無限の可能性を引き出す支援をするのが教育という考え方につながります。

山口さんが師と仰いでいる人物3人が紹介されてました。
ギリシア哲学の巨人ソクラテスと日本近代を代表する思想家福沢諭吉。
もうひとかた教育哲学者の村井実さんです。元慶応大学教授です。
村井さんの名前を拝見し懐かしさを覚えました。
「脱学校の社会」の卒論を書くにあたり参考にした著書の執筆者です。

ソクラテスは「汝自身を知れ」と問いました。
私流に解釈すれば「魂の声に従って生きろ」となります。
そうすればソクラテスが言うところの「よく生きる」ことができます。
頭でっかちになることが人生の本当の充実にはつながらないのです。

福沢諭吉の教育哲学について山口さんは端的にまとめています。
「子供は可能性に満ちた金玉の身でありそれぞれの異なった天資を備えている。教育とはその天資を見つけ出し磨いてやることだ。」
この福沢イズムを受け継いだ教育哲学者が村井実さんです。

福沢流の教育哲学を土台に現代に通用する内容へのバージョンアップが求められます。
山口さんはそれを実現するのが夢だと新聞紙上で書いているのです。
大げさに聞こえるでしょうがアメリカの黒人解放運動の指導者キング牧師みたいです。
黒人への差別撤廃というとんでもない壁を前に怯みません。
演説で「私には夢がある。」と述べました。

日本全国各地で公教育に対する疑問から改革の動きがあります。
寺子屋のような形で教育の再生を志向するなどしています。
教育哲学としては復古というか国家主義的な傾向が目立ちます。
山口さんの志向はこうした動きとは一線を画します。

福沢諭吉が理想としたのは「一身独立して一国独立する。」でした。
そうした確固たる人格を形成するのは「引き出す」のか「教え込む」のか。
私は山口さんと同様前者の立場です。

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