埼玉県議会の挑戦に拍手!

地方自治体で国の法律に当たるのが条例です。
地方行政は条例に基づいて運営されてます。
行政が策定し議会が承認するというのが一般的です。
議会が独自に提案し制定する議員提案条例もありますが少ないです。

地方自治法上は定数の12分の1以上の賛同があれば提出できます。
議会の組織や運営に関するルールを定める場合が大半で政策に関する条例は稀です。
埼玉県議会で政策に関する議員提案条例が続々と提案されています。
ちょっとした事件です。

元埼玉県志木市長で地方自治創造学会理事長の穂坂邦夫さんから教えていただきました。
2002年から2023年3月までで41本です。平均年に2本です。
いずれも県が行う政策の基本姿勢を定めた内容です。

最近の条例を見ると、分野は、福祉、防犯、部落差別、多様性の尊重などです。
具体には特殊詐欺撲滅、農作物趣旨条例、犯罪被害者支援、虐待防止条例が挙げられます。
エスカレーターの安全な利用に関する条例もあります。
2021年10月に施行された全国初の条例です。議員提案だったのです。
右側を空けず両側に立ち止まって乗るよう啓発する条例で話題を呼びました。

予算の編成や執行は県の権限です。
議会は理念を掲げ県が尊重するよう求める立場です。
しかし県議会が条例として定めれば県が背を向ける訳には行きません。
間違いなく一定の効果はあります。

条例を制定する過程で県議会議員は調査をしなければなりません。
また条例の提案者は議員の質問に応えなければなりません。
調査と受け答えを通じて議員は政策能力を格段に向上させることにつながります。
議会事務局職員の変容も促します。
議会の事務的作業を対応するだけでなく政策立案能力が求められるからです。

議員提案の政策条例の実績の積み上げは本来の地方自治に近づきます。
行政と議会は車の両輪が憲法が求める地方自治の理想です。
実態は圧倒的に行政有利です。
議会が能力を磨くことにより行政と対等に論議することが可能となります。
行政職員にも強く刺激を与えると考えられます。
行政のタテ割りの打破の呼び水とすることも可能です。

埼玉県議会の挑戦を全国の県議会や市町村議会でも応用して欲しいものです。
議会が変われば行政も変わります。
人口減少・少子高齢化を克服するため議会側から実践的条例提案を考えたらどうでしょう。
前例踏襲を超えた条例で行政の尻を叩くことが可能なはずです。
全国の地方議会、挑戦して欲しいです。