「SONTOKU」を世界共通語にしよう

座右の書は目指す生き様が伺えます。
私も何冊かありますがそのうちの一冊が『代表的日本人』です。
NHKを退職し政治家を志していた時に出会いました。
以来30年になりますが依然として支えです。

著者は内村鑑三。日本を代表するキリスト教の思想家です。
日本人にも高い道徳性を持つ偉人がいることを欧米に紹介した本です。
原本の出版は1908年日露戦争の勝利し日本への関心が高まっていた頃です。
キリスト教のような宗教のない日本人の精神的支えは何かという疑問に応えたものです。

政治家として西郷隆盛、封建領主として上杉鷹山、農村再興者として二宮尊徳、在野の教育者として中江藤樹、宗教家として日蓮。
5人が代表的日本人とされます。

私が座右の書としたのは最初に西郷隆盛が紹介されていたからです。
西郷の私利私欲を排する生き様に魂を揺さぶられ敬愛する気持ちは今も持ち続けています。
現代の若者たちにその思いが通ずるだろうかと考えるといささか自信がありません。
「無私」とか「敬天愛人」とか言っても意味不明でそっぽを向かれそうです。
鹿児島の若者ならばわかり合えるはずというのがせいぜいです。

残りの4人のうちで現代において再び脚光を浴びそうな人物がひとりいます。
二宮尊徳です。
薪を背負った金次郎少年なら今現在でも通用するかもしれません。
現代において光を当て直す必要があるのは頑張るけなげな少年イメージではありません。
成人した後の尊徳時代の功績です。
江戸時代の後期、疲弊した600の農村の再生事業を手がけました。

綿密な長期計画を立て財政措置も講じ漸進的手法で再生を実現していきました。
自然とできる限り調和し発展を求める志向です。
経済的利潤のみの追及を戒めました。
小さな成功実例を積み重ね他地域に波及していこうという実践的なやり方です。
多彩な人財を登用しチームを組んで事業の推進に当たりました。
現代の世界各地の疲弊した地域における再生策にそのまま応用できます。

国連は持続可能な社会を創ろうとSDGsを目標に掲げています。
二宮尊徳は「富国安民」を目指しました。
民衆の暮らしを豊かにすることを重視しました。
貧困の撲滅を目指す国連の方向性と合致します。

”シン二宮尊徳”のイメージを世界に発信するチャンス到来です。
「SONTOKU」を世界共通語にしましょう。
発信拠点は生家のある小田原を置いて他にありません。
小田原市が取り組むべき新たな目標だと思います。