真鶴町松本町長、決断の時

私が開成町長に就いたのは1998年2月。
当時町長のスターは真鶴町の三木邦之町長でした。
「美の基準」を定めたまちづくり条例で名を馳せました。

バブル経済下の開発ラッシュで真鶴町の水道供給が危機に瀕しました。
1993年に三木町長はこの流れに待ったをかける条例を制定したのです。
環境保全を重視する有識者の熱烈な支持を受け岩波新書などで紹介されました。
三木町長の決断が町の行くへを決しました。

条例制定から30年が経過し真鶴町は危機に瀕してます。
人口減少・少子高齢化です。
2020年の国勢調査人口は6722人、20年間で2353人4分の1強の減少です。

2022年のデータで高齢化率は43.7%に達してます。
深刻なのは出生率です。2019年と少し古いデータですがなんと0.74です。
神奈川県西部地域で最も人口が少なく最も年齢が高く最も赤ちゃんが産まれていません。

まちづくり方針の修正が必要ではないかと思います。
開発に規制をかけすぎたきらいはなかったか再点検をする時期ではないかと思います。
環境保全と開発の調和を図ると言った方が良いかもしれません。
開成町は都市計画に基づいて環境を保全する区域と開発区域が厳格に分かれています。
このバランスの良さが人口増を招いています。

真鶴町も環境保全を重視しつつ良好な住宅開発区域の設定も必要だと思います。
人口が急減すると美しい景観の保全もままならなくなります。
人々の暮らしがあってこそ自然の景観は守れます。
手つかずではなく人の手が入っているのですから当然だと思います。

まちづくりの分かれ道にある真鶴町は政争に揺れ続けています。
2021年12月の出直し町長選挙で松本一彦町長が再選を果たしました。
しかし町長による有権者名簿の持ち出し問題は収まりませんでした。

近く松本町長に対するリコール署名が確定されます。
有権者の3分の1以上の署名が集まったとされますので成立は確実です。
住民投票が行われ過半数の賛同があれば町長は失職となり町長選挙となります。

事態を早期に収めるには松本町長の決断以外にはありません。
松本町長に熱い思いがあるなら住民投票を待つ必要はありません。
辞職して町長選挙で信を問えば良いのです。

中島みゆきさんの「宙船(そらふね)」の一節。
「お前が消えて喜ぶものにおまえのオールをまかせるな」
松本町長に刻んでもらいたいです。
人を頼るのではなく自分で決断し切り開くしかありません。