大都市の自立論の前に、水源地域との連帯論を。

昨日、川崎市の前市長の阿部孝夫さんとお話する機会がありました。2011年4月の神奈川県知事選挙で大変にお世話になった方です。

阿部さんが1707年の富士山の宝永大噴火後の酒匂川の治水を話題にされました。治水工事に当たったのは川崎宿の元名主だった田中丘隅です。

工事を命じたのは八代将軍の徳川吉宗で田中丘隅の能力を見込んで抜てきしました。現在に置き換えれば、阿部さんを総理大臣が登用したようなものです。

川崎の市長だった方が酒匂川の治水に関心を持っていられることは、我々のように県西部で首長を務めたものにとっては嬉しいことです。

富士山と丹沢を源流とあする酒匂川の水が小田原市内でせき止められて川崎や横浜方面に送られています。取水量の86パーセントと言われています。

酒匂川の水を通じて横浜、川崎と県西部は結ばれています。しかし、大都市部に住む方の大半はこの事実を知りませんし、無関心です。残念です。

阿部さんのように神奈川県全体を見る視野を持ち大都市と地方との連携を考えられている方が大都市の市長である意味は大変に大きいです。

大都市が県全体をリードする牽引力であることは間違いありません。その大都市が自分たちだけで自立が可能だと誤解されては困ります。

命の水の供給地域の支えがあって大都市の繁栄が可能となります。大切なのは、大都市と地方との連帯です。神奈川で言えばオール神奈川体制です。

横浜、川崎といった大都市の自立を保障する制度を作る動きが活発です。しかし、水源区域のことを忘れた自立論は危険です。注意喚起したいです。