職人国家日本の外交は”誠心誠意”が基本

政治にしたたかさはつきものです。
権謀術数渦巻く国際政治ならその度合いはさらに高まります。
そんな世界で存在感を高めているのがトルコのエルドアン大統領です。

ロシアのウクライナへの軍事侵攻以降、欠かせない顔役に浮上しました。
プーチン大統領と交渉できるという強みを最大限活かしてます。
変幻自在に立ち位置を変化させ存在感を高めます。

マッチポンプのような振る舞いも平然と行います。
スウェーデンのNATO加盟問題です。
スウェーデンの加盟にいちゃもんをつけました。
トルコ内政ののどに刺さったとげクルド人問題と絡めました。
スウェーデン国内でクルド人テロリストが暗躍しているとしたのです。

ところがここにきてエルドアン大統領はスウェーデンの加盟容認姿勢に転じました。
大統領選挙が終わり国内向けの強硬姿勢の必要性が減じたことがあるように思います。
今度はNATO側に恩を売ってアメリカからの譲歩を引き出すチャンスと捉えたようです。
高性能戦闘機の供与を目論んでいると報じられてます。
ロシア国内の混乱でプーチン大統領の足元が揺らいだタイミングもにらんでいるはずです。

あっちに寄ったかと思えばこっち、軽業のようでいて重厚な選択。
したたかさを絵に描いたような立ち振る舞いに脱帽です。
日本人は真似できないと思う方が大勢だと思います。
正直でまじめな職人気質を基本とする日本人はかないません。

日本人の特性を活かした外交を提起した人物がいます。
勝海舟です。『氷川清話』の中で述べてます。
明鏡止水と誠心誠意に勝る外交はないと喝破しました。
エルドアン大統領とは真逆です。
日本人には人を欺く外交は本性に合わないと言っているのだと思います。

勝海舟は剣術を外交に応用しました。
策をめぐらすのではなく心を曇りのない状態にしたというのです。
臨機応変の対応につながるというのです。
あとは誠心誠意あるのみというのが勝海舟流です。

誠心誠意は弱腰とは違います。
勝海舟は断固たる決意とセットで語ってます。
正しい道を踏んでいるという確信は強力な外交力の土台です。
暴虐国家のロシアにも対抗できます。

誠心誠意と断固たる決意に加えもうひとつ勝海舟は述べてます。
天皇を中心に4千万国民が結束することです。
そうすれば「国際問題などは屁でもない。」と断じてます。

幕末維新期と現代とは時代状況は異なります。
しかし国民の結束の重要性は変わらないと思います。
いちばん気になるところです。