原発処理水、岸田総理自ら誠心誠意漁業関係者を説得すべし

菅義偉政権の在任期間はわずか1年。
最後は総裁選出馬を自ら放棄しあっけない幕切れでした。
原因は裏の男が表に出てしまったことに尽きます。

安倍晋三総理を官房長官として裏方で支えた手腕は鉄壁と称されました。
安倍総理ではできないよごれ仕事を一手に引き受けていたと思います。

裏の男は謎めいていることが力の源泉です。
表舞台でスポットライトを浴びると威力は減じます。
菅さんの場合は原稿の棒読みなど答弁の拙さが痛かったです。
時期も悪くコロナに重なり答弁のまずさが一層際立ってしまいました。

菅さんは内心は満々たる自負があったはずです。
課題をこなして行けば仕事師の本領をわかってくれるはずだと信じていたと思います。
国民は政治のことをそこまで深く理解しようとしません。
目に見える一挙手一投足に関心が向き評価されてしまいます。

裏の男として仕事師らしく泥をかぶった仕事がふたつあります。
2020年の暮れ総理決断として75歳以上の高齢者の医療費負担増を」押し切りました。
若い世代の負担を考慮し高齢者の医療費窓口負担を2割に引き上げたのです。
昨年4月から施行され受診控えなどがないのかの検証はこれからです。
財政だけを考え高齢者の健康をないがしろにしてはならないことは言うまでもありません。
しかし嫌われる政策から逃げなかった姿勢は評価されると私は思います。

2021年4月に福島第1原発事故で汚染された水の処理水の扱いも泥をかぶりました。
海洋放出を総理決断したのです。
先送りしてきた難題から逃げませんでした。
海洋放出しなくて済むならばそれにこしたことはありません。
他の方策なしと判断したのならば苦渋の決断をせざるを得ないのがトップです。
裏の男で仕事師の菅さんは泥をかぶりました。

嫌な判断は出来れば避けて通りたいのが人情です。
安直な解決策が先送りです。
岸田総理の防衛費の財源をめぐる論議がその典型です。

原発処理水問題は岸田総理が得意とする先送りはもはやできません。
放出する時期だけです。

岸田総理は漁業関係者らに自ら直接会って風評被害への万全な対策を約束して欲しいです。
土下座とは言わないまでも平身低頭頭を下げる姿勢が不可欠です。
誠意は必ず伝わると信じます。
賛成に転じることは困難でも一定の理解を示すところまでは行けると信じます。

菅前総理は不退転の決意で泥をかぶりました。
今度は岸田総理の番です。
政治生命をかけ最後の説得に臨んで欲しいです。