サグラダ・ファミリアと”田舎モダン”

140年過ぎてもいまだ建築中の世界遺産サクラダ・ファミリア。
作者のアントニ・ガウディの没後100年の2026年には完成かともいわれます。
先月23日のNHK日曜美術館で特集してました。
魅力の一端が十二分に伝わる中身でした。

キリスト教の聖堂だという特徴がまずあります。
民衆の寄付によって建てられていることも重要です。
資金不足で建設に長い年月がかかっているのです。

設計図がありません。
1930年代後半のスペインの内戦で破壊されるという悲劇にも遭遇しました。
番組で初めて知りましたが破片を丹念に集めガウディの意図を推測しているのです。
とてつもない物語の積み重ねの結果今に至ってます。
パンデミックが終息しようとする時期に完成するのも歴史の1ページに加わります。

ガウディは聖書を台本にキリスト教の小宇宙を表現しました。
まちづくりに応用可能だと直感しました。
同時に開成町のまちづくりはサクラダ・ファミリアに近いとも思いました。
大きな構想を掲げ徐々にその目標に近づいているからです。

小田原に次ぐ副中心都市を目標としました。
純然たる農村だった町としては大そうな夢です。
1965年の都市計画により土地利用の基本を定め今日まで一貫してます。
この土台があって60年以上の人口増を続けています。

サグラダ・ファミリアは聖堂というひとつの拠点に全てを集約した作品です。
たぐい稀な造形が世界の人々を魅了してます。
まちづくりとなると面的な広がりが必要です。
ここが大きな違いです。

サグラダ・ファミリアのまちづくりには哲学が不可欠です。
サグラダ・ファミリアには聖書という基本がありました。
開成町のまちづくりにおける基本をもう一度再検討する必要があります。

副中心都市ではなくより多くの人々の共感を呼ぶ目標が欲しいです。
キーワードはすでにあります。“田舎モダン”です。
10年前若手職員たちが練り上げたものです。
未来を創る力を持つ田舎の可能性を感じさせます。
開発や成長一辺倒から持続を目指すSDGs時代に適合してます。

“田舎モダン”のシンボルはかやぶき屋根の古民家瀬戸屋敷です。
開成町のサクラダ・ファミリアと言えます。
瀬戸屋敷だけでは“田舎モダン”は成立しません。

様々な拠点が“田舎モダン”の一翼を担います。
これから建てる図書館も新街路もです。
それらのネットワークが“田舎モダン”のキャンバスとなります。
山神裕新町政がどんな画を描くか注目です。