寺田寅彦を越えられるか

「災害は忘れた頃にやって来る」。多くの方が耳にしたことあると思います。
発したとされるのは地震学者の寺田寅彦です。
100年前の関東大震災の時も活躍しました。
神奈川県秦野市で土砂崩れが発生し川の水がせき止められて湖ができました。
俳人でもあった寺田は一句詠みました。
山さけて 成しける池や 水すまし

冒頭の警句の言葉をそのまま残した文章はありません。
寺田が同趣旨のことを述べていたので後世に語り継がれたと言われてます。

寺田は時代を超えて人が犯す過ちを見抜いていました。
時とともに記憶は薄れ痛みも彼方に消えるということです。
大自然の摂理である災害は周期的に襲ってきます。
二宮尊徳が喝破した天道の道理です。
安定は永遠と勘違いした人間は慌てふためきます。

どんなに科学技術が発展しようとも人間の本質は変わらないと思います。
むしろ科学技術の発展に依存し忘却の速度が速まる危険性があります。
AI時代になって人工知能に任せれば大丈夫という過信が生じかねません。
AIが前提としていたデータでは予測できない災害が起こることは大いにあります。
安心しきっていた人間にとって衝撃は大きいはずです。

「災害は忘れた頃にやって来る」という警句は過去を学べと言っているとも捉えられます。
災害の歴史を学ぶことは忘れないようにする最良の手段だからです。
記憶を喚起する場をつくり展示に新技術を活用することは重要だということになります。
関東大震災100年を契機に災害遺跡のありようを工夫してみる必要があります。

東大名誉教授でGPSを使った測量の世界的権威の村井俊治さん。
地震予測のスタートアップ企業を興し10年経過しました。
理論で地震の発生を追いかけるより地面の変動を測量したほうが早いという発想でした。
日本全国の地面の変化を常時監視して異常があれば契約者に警告してます。

村井さんが経営する地震科学探査機構で防災標語を募集してます。
「天災は忘れた頃にやって来る」のように100年たっても色あせない標語を待ってます。
詳しくは以下をご覧ください。標語と一緒にニックネームも求めてます。
https://www.jesea.co.jp/202309bousaicp/

災害記録を学ぶことに勝る備え無し 郷土史家
いつの時代も自助、共助、公助 時代遅れ
いつもいると思うな親とロボット AIオタク
難しいですね…。寺田の標語越えはエベレストを踏破するようなものです。

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