小児医療費助成の効果の検証について

異次元の少子化対策は何のために行おうとしているか明確にしないといけません。
急激な少子化は人口減少を早め、それは国家の存続の危機と捉えているからです。
異次元の政策が必要となるほどの危機的状況だという意識を喚起する手段でもあります。
政策を総動員して目指すのは出生者数の改善、合計特殊出生率と考えるのが妥当です。

11日付の日経新聞のオピニオンの頁に子育て支援に関する評論が掲載されてました。
東大教授の渡辺安虎さんによる論評です。
小児医療費の無償化を取り上げていました。
渡辺さんはこの政策に疑問を投げかけていました。

小児医療費支援は拡充の一途をたどり無償の範囲は高校生までが流れになっています。
渡辺さんはこの結果もたらされた負の側面として医療費の増加を挙げます。
無料ですので気軽に受診するいわゆるコンビニ受診が増えているというのです。
その一方で子供たちの健康の改善を示す確たるデータは見当たりません。

小児医療費の助成は地方自治体ごとに実施されます。
制度の拡充の背景には首長の選挙への恐れを挙げてます。
対抗馬の政策や他の自治体との比較に首長は敏感にならざるを得ないからです。
渡辺さんはこの現象を“経済的ポピュリズム”の結果ではないかとも書いてます。

私は渡辺さんの視点に疑問を持ちます。
冒頭に挙げた何のために子育て支援があるかという目的を直視してません。
医療費が増えようとも子供の数が増えていればそれは効果があると言えます。
医療費を増やしてしまっていることだけに照準を合わせるのは筋違いです。

一方で傾聴に値する指摘も確かにあります。
小児医療費の無償化に関わる政策の効果の検証が不十分だとしている点です。
政府も自治体も実施してません。
小児医療費の助成はなぜ必要か、効果はどういった点にあるか数値データが必要です。
異次元の少子化対策との喧伝しているのですから政府が本格的な調査を行わないとなりません。

国家の重大課題とされた課題については財源の集中投下が必要です。
人口減少、少子化は国家の存続の危機の要因とされました。
思い切って財源を振り向けなければなりません。
ただし効果の検証と同時進行である必要があります。
どぶにおかねを捨てる余裕はないからです。

高校までの小児医療費の助成が常識となりつつある今こそ点検の時期です。
地方自治体の政策とはいえその影響は国家規模です。
政府の責任で本格的な調査に乗り出すことを切望します。