”エンジョイ・ベースボール”

夏の全国高校野球決勝戦“エンジョイ・ベースボール”が全国制覇しました。
慶応高校のキャプテンは高校野球の新たな可能性を開いたことに胸を張りました。
選手たち丸坊主ではありません。
サラサラヘアーですこぶるさわやかでした。

野球の神様は慶応に勝たせたかったのだと思います。
先頭打者ホームランです。
超満員のスタンドは熱狂し異様な雰囲気が生まれたはずです。
連覇を狙う強豪の仙台育英をもってしても勢いに抗すことはできませんでした。

107年ぶりの慶応の優勝でした。
今年は関東大震災から100年の節目ですがそれよりもっと古いです。
大正デモクラシーの時代でした。
世界の一流国に近づきつつある明るさと開放感があったとされる世相です。
慶応の優勝はマッチしているように思います。

1世紀以上の時を経て令和の時代に再び慶応は真紅の大優勝旗を手にしました。
時代は前回の優勝の時ほどの明るさはありません。
前回が昇竜の時だとすると現在は沈みゆく経済大国といった趣です。
こうした時代に楽しむ野球が全国制覇した意味はなんでしょう。

日本は刻苦勉励を貴ぶ国柄です。
歯を食いしばって耐えがたきを耐えて踏ん張る姿勢を評価してきました。
スポーツの世界はとりわけそうした空気が強いように見受けられます。
慶応高校の選手たちそんな風潮と決別する画期となろうとし実現しました。

楽しもうと口で言うのは簡単ですが結果を伴うのは容易ではありません。
一貫してやり切った選手もそうした選手の自主性を引き出した監督もあっぱれです。
高校球界にとどまらず困難な時代に立ち向かう構えとして大きな影響を与えると思います。

日本を取り巻く安全保障環境は深刻の度を増してます。
人口減少、少子高齢化、国の存続の危機です。
何よりも地球全体の環境が変調をきたしてます。
にっちもさっちもいかない状況に直面しつつあると言えます。

危機に立ち向かう心構えを養うのに慶応野球はひとつの手がかりを教えてくれました。
全部受け止めて“楽しむ”ことです。
“楽しむ”というと誤解を招きやすいですのでワクワクしながら対処すると言い換えます。
どんな困難でも乗り切れない困難はありません。
悲観することなく明るく前を向くことが最初の一歩です。

眉間にしわを寄せて事態の深刻さを議論しても何ら解決しません。
楽観的に可能性を信じてできる方策を導き出し一歩進めることしかありません。
慶応高校のように勝利をつかめると信じましょう。