林外務大臣交代から透けて見える岸田総理の保身

鮮烈さとは無縁のタイプの岸田総理が好むのが人事です。
案を巡らせ鉛筆なめなめしている姿が目に浮かびます。
喜びをかみしめているように思います。

岸田総理の今度の人事の狙いについてあれこれ書かれています。
来年9月の総裁選挙での再選の布石。
女性閣僚を多く登用して政権浮揚を図りあわよくば解散・総選挙。
以上のふたつに集約されます。

どちらに重きを置いているのかと言えば前者の方だと思います。
総裁選のライバルを封じ込める策略を感じるからです。
前回総裁選に出馬した河野、高市両氏は引き続き閣内にとどめました。
ふたりともかつての勢いはありません。
留め置けば更に失速します。

総裁に意欲を示す茂木幹事長に対しては小渕優子さんの抜てきでけん制しました。
同じ派閥内で競わせて勢いをそぐ手口だとされます。
小渕選対委員長、過去の政治資金スキャンダルを問われ涙ぐみました。
ナイーブさに先行き不安は募ります。

今回の人事で注目したのは林外務大臣の交代です。
外務大臣は主要閣僚の中の主要閣僚です。
ロシアのウクライナ軍事侵攻、米中対立、ロシアと北朝鮮の接近。
外務大臣を変える理由はありません。

林大臣は親中派とされるので外したと書くメディアもあります。
嫌中国派に媚びを売ったというのです。
林大臣を斬った程度で中国を嫌う勢力が喝さいというほどの衝撃はありません。
表層的な見方です。

林さんが岸田総理が率いる派閥、宏池会の後継者であることは衆目が一致してます。
林さんを目立つポストに置きたくなかったという観測もあります。
私はこちらの方が近いと思います。
派閥の後がまに対する恐怖感があってもおかしくないからです。

事情通によると大きな理由があるようです。
林さんは麻生副総裁と犬猿の仲である古賀誠元幹事長とつながりがあります。
麻生さんから交代を強く求められたというのです。
政権運営の要と位置付ける麻生さんの機嫌を損ねることはできません。

全ては岸田総理の保身です。
国家が危機に瀕しているのに情けないです。
捨て身で国家を守る時なのに自分の身を守る方を優先していては迫力は出ません。
政権浮揚は厳しいと見ます。
解散・総選挙は見通せません。総裁再選は更に霧の中です。