ユダヤ人の命を救った杉原千畝(ちうね)の美談は作り話?

朝日新聞のデジタル版で書店の苦境が特集されていました。
知り合いの記者が書店応援のコメントを書いてました。
書店で出会った一冊の本がきっかけで記者になったと書かれてました。


早速連絡を取りました。
私も書店で最近たまたま手にした一冊の本に衝撃を受けたと伝えました。
『「命のヴィザ」言説の虚構』という本です。
2年前に出版された645ページの分厚い本です。
私は知りませんでしたが話題になっていたようです。

ユダヤ研究者の菅野賢治さんの渾身の作です。
朝日の記者は菅野さんを取材中だというのです。
偶然の一致に驚きました。

「命のヴィザ」の話しはご存知の方は多いと思います。
1940年前後リトアニア領事代理をしていた杉原千畝(ちうね)の英雄的な行動の物語です。
ナチスの迫害から逃れようとしたユダヤ人に杉原はヴィザを出しました。
6千人の命を救ったと流布されてます。

ヴィザは1940年7月8月に出されました。
1800人分ほど出していることは確認されました。
しかしナチスの迫害から逃げたという証拠は見つかりません。
リトアニアがソ連の支配下に置かれた時なのでその脅威から逃れようとしたと見るのが順当です。
実際に救出を担っていたのはユダヤ人団体であることも明らかにしました。

「命のヴィザ」の物語は1977年フジテレビの取材が端緒です。
杉原夫妻が証言しました。

菅野さんはインタビュー内容を詳細に検討してます。
杉原夫妻の発言について歴史的事実とかい離しているとしてます。
ナチスがユダヤ人の絶滅収容所送りの国策を決めたのは1942年1月以降です。
40年夏の時点で言及するのは無理があります。
その後の大量虐殺が投影されてしまっている可能性があります。


なぜ杉原夫妻は事実に反する英雄的行動を述べたのでしょうか。
菅野さんは『「命のヴィザ」の考古学』という続編を出版しました。
すぐに買い求め読み出しました。
世紀の美談創作劇の匂いがしてなりません。

記事

前の記事

「日本は滅びる。」か…。
記事

次の記事

68歳誕生日に思うこと