奇妙な安定国家日本の末路を憂う

内閣支持率が25%と聞くと政権末期に近いと思うのが普通です。
そんな緊迫感はみじんもないのが今の日本の政治です。
これこそが日本の政治危機の本質だと思います。

次の総理にしても自公政権に代わる政権にしても受け皿がないのです。
結果として岸田政権は低支持率の中で安定しています。
脅かす存在が無いのです。奇妙な安定政権なのです。

奇妙さのただ中で進行しているのが財源なき歳出拡大です。
支持率低迷をこれ以上進めたくない岸田政権はバラ色の夢を語ります。
異次元の少子化対策路線が典型です。
負担論議は封印します。
つまるところ借金だよりです。

緊迫する国際軍事情勢の中で防衛費の負担増はG7内での共通課題です。
防衛力強化を既定路線としつつ負担増は先送りというやり方で批判をかわしてます。
防衛という国家の存立の基本に関わる問題なのにもかかわらず不誠実です。
不足する財源はこれまた借金です。

ゼロ金利状態で日銀が国債を買い支える異例の財政運営が続きました。
デフレからの脱却が大義名分でした。
昨今の経済情勢はジワリと金利上昇の傾向です。
日本だけがゼロ金利という特殊事情の継続が困難になってます。
金利が上昇すれば利払いが増えて借金がしにくくなるのは理の当然です。
借金だよりの財政運営を直撃します。

日本の潜在成長率の低さからくる記録的な円安が追い打ちをかけています。
エネルギー、食糧を輸入に頼る日本は購入費が膨らむばかりです。
円安効果で輸出が増えても相殺されるどころかそれ以上の負担を強いられます。
未曽有の国家存立の危機です。

しかし日本の政治は危機意識とは無縁のぬるま湯状態が継続してます。
このままの状況が続くといわゆるゆでガエル現象が発生します。
気が付いた時には手遅れとなります。

高度の理解力を持っていないとわからないような話ではありません。
子どもでも理解可能です。
でも止められません。
まずは本当の実態を誠実に語ることが政治の責任です。