美談より真実が重要
誕生日である11月6日の日経新聞のコラムが気になりました。
古事記に「角鹿(つぬが)の蟹」を供されるとの表現があると書かれてました。
「角鹿」とは福井県敦賀市のことです。
敦賀港が紹介されてます。
「敦賀港はナチスの迫害を逃れたユダヤ人を受け入れた『人道の港』である。」
1940年の夏の出来事が美談として残っていることがわかります。
誕生日の日のブログは杉原千畝(ちうね)の「命のヴィザ伝説」についてでした。
杉原はバルト海に面しソビエトに隣接する小国リトアニアの領事代理でした。
ユダヤ人に日本通過のヴィザを発給しました。
6千人の命を救ったとされてきました。
東京理科大教授でユダヤ学を研究する菅野賢治さんが最調査を試みました。
ナチスではなくソビエトの共産主義から逃れるためであることを明らかにしました。
救済されたユダヤ人の数も2千程度と推測してます。
20日の朝日新聞デジタル版に菅野さんの研究の記事が載りました。
要点はなぜ誤った言説が流布されるようになったかです。
1960年7月12日付の朝日新聞の記事がユダヤ難民についての初見です。
「ドイツを追われ日本に来た」と書かれているとのことです。
杉原の名前は1968年8月2日の朝日新聞から登場するようになったとのことです。
杉原自身がマスコミのインタビューに答えてます。
1983年9月のフジテレビの取材にユダヤ人はナチスから逃れてきたと明確です。
杉原は1984年にイスラエルのホロコースト記念館から「義人」の認定を受けました。
1986年7月に死亡した後も書籍の出版や顕彰が相次ぎました。
1998年にはイスラエルで杉原の切手が発行されました。
完全に美談の人となりました。
外交官の杉原が当時のユダヤ人の事情を知らないはずはありません。
なぜ美談の形成に加担したのか謎です。
自らを偉大だと印象付けやすいと判断したのでしょうか。
真実を語ることの方がよほど評価されるのに残念です。