NHK籾井会長発言と任命責任

NHKの籾井会長が就任の記者会見で従軍慰安婦などをめぐって自らの見解を述べて賛否両論入り乱れて騒ぎになっています。

騒動になるのは当たり前だと思うのが常識ですが籾井会長はそうは思わなかったようです。記者から指摘された後で取り消す一幕もあったということです。

この一事を持って籾井会長はNHK会長としての資格はありません。公共放送のNHKという役割を全く理解しないまま会長に就任したことが明らかです。

籾井会長発言が正しいとか正しくないと議論は、物事の本質を見ていません。籾井会長が個人としての見解を持ち個人として公表するのは自由です。

本当に議論しなければならないのは、NHKの会長が鋭く対立する問題について自らの持論をNHK会長として天下に公表することは許されるかです。

NHKは公共放送です。論点を整理して判りやすく伝えるのが仕事です。そうした使命の会社のトップが我先に持論を開陳したとしたらどう思われるでしょうか。

賛否両論どちらの立場からも色眼鏡で見られてしまうのではないでしょうか。こんな常識が通用しないのが現在のNHKの置かれた状態です。

籾井会長は財界人としては優れた力量を持っていられたのでしょう。しかし一般の会社と公共放送のトップは自ずと求められる能力が異なります。

利潤を上げるという目的に奉仕するのは競争原理の経済競争を勝ち抜くたくましさが必要でしょう。ライオンのような激しさです。

多様な意見を取りまとめて会社は一つの意見を猛々しく主張することはできません。自らの見解の開陳を自制し多様な意見を受け止めるしなやかさが必要です。

NHKという会社のトップはマッチョではいけません。柳のようなしなやかさと粘り強さを持つ方が座るのが適当なポストです。任命した方にも責任あります。