NHKと東大

多方面にわたる探求から知の巨人と言われた故・立花隆さん。
『天皇と東大』という著書があります。
2005年刊行で上下2巻、あわせて1556頁の大著です。
明治から戦前の大日本帝国の高廟の歴史と東大とのかかわりを追求しました。


小田原の女性郷土史家の故・宇佐美ミサ子さんの蔵書整理の際に見つけました。
残念ながら解説する資格がありません。
宇佐美さんから引き取った大量の蔵書の一角に収まったままです。

この著書をふと思い出したのには訳があります。
NHKが東大と包括連携協定を結ぶとのニュースが流れたからです。
2025年がNHKのラジオ放送開始から100年。
東大は2027年が創立150周年となります。
節目の年を前に連携を深めることを決めたと報じられました。

近現代史関連の番組の制作を目指すとしてます。
東大が保有する歴史的資料とNHKの映像アーカイブを組み合わせるとのことです。
興味深いです。

端緒となりそうな番組がこのほど放送されています。
関東大震災100年の企画番組です。
NHKが最新デジタル技術で震災当時の映像を精密化カラー化しました。

番組の中で東大地震研が登場しました。
関東大震災の襲来を予測し警告していた今村明恒博士が描かれていました。
激しい揺れで針が振り切れている地震計が映し出されてました。

NHKと東大の連携が深まればこの手の検証番組が更に期待できます。
立花さんの『天皇と東大』を番組化してもらいたいです。
立花さんの指摘通り大日本帝国の成立と崩壊に東大は深くかかわっています。
NHKには様々な映像資料があります。
映像で東大の果たした光と影を実証的に追いかけるのは価値ある取り組みです。

NHKの使命は現代の社会が抱える諸問題を考える素材を視聴者に提供することです。
日本を代表する知の拠点の東大と連携する意義は大きいと思います。
学園祭を始めイベントにおいてもNHKとの連携のメリットを活かした工夫を期待します。