義理と人情の永田町劇場が観たい
私が最も薫陶を受けた政治家のひとりは野中広務さんです。
筋を通して戦うことを政治信条とされました。
野中さんの口ぐせのひとつが“評論家は要らない。”でした。
政治闘争を展開している時に評論家気取りで語られるのは苦痛です。
中身がご節ごもっともの場合は反論ができず余計にはらわたが煮えくり返ります。
言わんとすることはわかっていてもそうできないから頭を抱えているのです。
そうした事情を度外視してきれいごとを述べる輩は同志ではありません。
評論家です。
岸田総理の次の総理の人気投票でトップにいるのは石破茂さんです。
岸田総理はご承知の通り政権発足以来の危機に瀕してます。
その岸田さんに向かって石破さんは予算成立後の退陣もあり得ると述べました。
1989年の竹下内閣の時は確かにそうです。
リクルート事件の逆風の中竹下総理は予算成立と引き換えに退陣しました。
ことさらに過去の出来事を持ち出すまでもなく政治に詳しい人ならわかり切ってます。
困難な時にあえて口にしなくても良い話です。
もしするのならば決定的なひとことが欠けてました。
自分はとことん岸田総理を支える立場に立つという決意表明です。
そうでなければ同じ自民党員ではありません。
客観的な立場で評論するコメンテーターと同じです。
総理の可能性を云々される政治家としてはお粗末の極みです。
これでは支持者は増えません。
政治は評論の世界ではなく情念が絡みつく劇場です。
不利と思える発言や行動であってもあえてせざるを得ません。
義理と人情がそうさせます。
それが政治の面白みであり醍醐味です。
反岸田総理的立ち位置の石破さんが泥をかぶり危機に瀕した総理の支持に回ったとします。
石破さんも器が大きくなったと見る目が変わるはずです。
多少芝居がかっていようとも堂々と発言し行動に移すことです。
ポスト岸田の地位が自ずと近づいてきます。
永田町劇場は貧相になるばかりです。
義理と人情の時代劇が見たいです。