八代亜紀さんに学ぶ人生論

八代亜紀さんが亡くなりました。
朝日新聞の天声人語はある映画を取り上げ八代さんの「舟歌」を讃えました。
高倉健さん演じる名作「駅」は「舟歌」なしには成り立たなかったと。

居酒屋のシーン。
テレビから流れる「舟歌」。

お酒はぬるめの燗がいい

13日NHKBSで追悼番組を放送してました。
八代さんの歌手生活50周年を祝う特別番組の再放送でした。

八代さんの生涯を描いた「八代亜紀物語」というコーナーがありました。
10代半ばで歌手を目指して上京し試練の時期を過ごしました。
銀座のクラブ歌手、全国各地のどさまわり。
夜の街で働く女性たちの苦しみと悲しみを肌で知りました。

八代さんの初のヒット曲「なみだ恋」。

夜の新宿裏通り 肩を寄せ合う通り雨

歌声に哀感がこもり迫って来る情念があります。
八代さんの実体験が背景にあることは間違いありません。

30年前の苦い記憶がふとよみがえりました。
NHKを辞めて政治家を目指し鼻息が荒いころでした。
元職場の同僚たちと飲み会がありました。
クラブのママと言い争いになりました。

「飲み屋で働いているくせに…。」と悪態をつきました。
「私たちだって一生懸命生きているよ!」と返されました。
過去の肩書かざし上から目線の私に対する一撃でした。
ろくな政治家になれないとの警告だったかもしれません。

続きがあります。
ママさんに謝罪に行きました。
言い合いながらお茶を濁す算段を早々に考えていたように思います。

ママさんの見通し通り私の政治家稼業は中途半端に終わりました。
4回の大きな選挙全て敗れました。
夜の街で働く女性には足元にも及びませんがそれなりに苦労もしました。
しかし八代さんのように人間として深みが増したかと言えば全く自信ありません。

八代さんは人として完成されたので73歳で生涯を閉じられました。
私に残された幸運は人生が残っているということです。
八代さんの心境に達するまで人生を深めないと死ねないと思いました。