台湾の民主主義を信頼する

台湾の民主主義は強じんという印象です。
投票率は3ポイント下がったとはいえ71%です。
選挙への参加意欲は高いです。

台湾の民主主義を切り開いた李登輝さんが1998年に総統に就任しました。
以来4年ごとに民意を確かに反映してきました。
中国の圧力に負けずに選挙で意思表示します。
台湾は民主主義の学校と言っても良いです。

今回は中国に対し強い姿勢の民進党の頼清徳総統が誕生しました。
蔡英文路線が継続されます。
得票数は前回の810万票から560万票と大きく落ち込みました。
対中強硬路線に批判があったのは事実です。

中国との協調路線を一貫して打ち出してきた国民党にも厳しい結果です。
侯友宜候補の得票は467万票で前回の552万票より減らしました。
3期連続総統の座を得れませんでした。
中国からの非公式な支援を受けての敗北の意味は小さくありません。
中国べったり路線は嫌われてます。

台湾民衆党の柯文哲候補が369万票を集めました。
民進党と国民党の減少分をすくい取った格好です。
台湾の民意を象徴する結果だと思います。
中国との距離感は堅持しつつ極端な対立は避けたいという本音を示してます。

立法院の結果と合わせて見ればより民意が鮮明です。
民進党は第一党の座を国民党に譲りました。
7議席の第3の政党、台湾民衆党がキャスティングボードを握りました。
民衆党の意向が国政に反映されます。

国民党への期待を鮮明にしてきた中国にとっては不愉快な結果です。
台湾は香港のように押さえつけることはできません。
民主主義は強権中国に対し強じんな防波堤であることを示しました。
いらだって強硬手段をとればとるほど台湾の民意は中国から離れます。
中国指導部がまっとうならば路線の再検討が必至です。

アメリカにとっては頼総統の誕生は好ましいものの議会の意向が気になるところです。
日本も同じです。
まやかしではなく正当に行われた選挙です。
台湾の民主主義を信頼することです。