世界遺産富士山が牙をむいた時への備え
(写真 富士山噴火.comより)
富士山火山防災対策協議会が富士山が噴火した時の被害想定を発表しました。気にかかるのは1707年の宝永噴火並みの噴火が発生した場合です。
神奈川県西部は、南足柄市と山北、松田、大井、開成の1市4町、それに秦野、伊勢原、厚木、清川村で30センチ以上の降灰があるとされました。
宝永噴火の時、開成町は町北部で60センチ、私が住んでいる地域で30センチ程度の降灰があったと記録されています。想定は理解できます。
火山灰という呼び名が誤解を生みます。1707年の宝永噴火で県西部に降ったのは灰ではなく砂でした。専門用語ではスコリアと言われます。
灰というと吹けば飛ぶイメージですが砂ですので飛びません。重量もあります。30センチも積もると屋根が落ちる危険性があります。
協議会では鉄筋コンクリートのマンションなどに避難する計画をたてなくてはならないとしています。地方にそれほど鉄筋コンクリートの建物はありません。
重みに耐えられる公共施設を中心に避難計画を立てるしかありません。公共施設はどこもかしこも古くなってきていますので計画の策定は容易ではありません。
それと灰というか砂の捨て場所をあらかじめ確保しておく必要があります。被害を受けていから慌てて探しても見つかりません。
開成町には高台という小高い丘の地域があります。この地域は300年前の富士山の噴火の砂を集積した場所と言われています。
酒匂川の土手に近いエリアを設定しておく必要があると思います。その際に平時に地権者の了解が必要ですしその条件も明確にしなくてはなりません。
30センチ以上ならば危なくて未満なら大丈夫ということはありえません。神奈川県内広範に災害対策を立てていく必要があります。
300年前は酒匂川の洪水も起こりました。今回の被害想定では含まれていません。現代の土木技術で対応できるかどうかの検証が不可欠です。
酒匂川の上流部には三保ダムがあります。ここにどのくらい灰が流れ込んでくると予想されるのか調査も必要です。本当に耐えられるかが気がかりです。
想定をきちんとして検証し公開することが大原則です。公開することで冷静に受け止めることができます。混乱を招くとして隠すのは逆効果です。
300年前、想像を絶する苦難に見舞われながら先輩たちは乗り越えてきたのですから過度に恐れる必要はありません。冷静に対策を急ぐ必要があります。