身分に囚われない人材登用の達人、徳川吉宗
江戸時代を見る眼には時代劇のフィルターがかかってます。
勧善懲悪の水戸黄門が典型です。
黄門様ほどではないにしても徳川吉宗にも時代劇の色がついてます。
暴れん坊将軍のイメージは強いです。
破天荒な乱暴者との先入観を持つことは実像を見誤ります。
度重なる災害で低迷期に陥った時代に大ナタを振るった改革将軍です。
特筆できる点のひとつは人材登用です。
優秀な人財を身分と関係なく引き立てました。
そのひとりが田中丘隅(きゅうぐ)です。
農民出身で川崎宿の名主を引退後に全国を行脚し見聞を広めました。
『民間省要』という書物にまとめました。
横浜の有隣堂から復刻されてますが読みごたえがある書物です。
民間業者の金儲け優先の姿勢が世を乱していると直言してます。
幕府批判とも受け止められかねません。
徳川吉宗は逆に丘隅を抜てきしたのです。
多摩川の治水で能力を見極め私たちの地域を流れる酒匂川の治水を命じました。
1707(宝永4)年の富士山の噴火後の洪水で酒匂川の土手は切れたままでした。
丘隅はこの難工事を1726(享保11)年にやり遂げました。
中国の治水神の名前を取り文命堤と名付けました。
丘隅の教養が伺われます。
堤を紹介する看板が土手に立ってます。
そこには徳川吉宗のイラストが描かれています。
吉宗の身分にとらわれず人物を見極める能力を今日の指導者は学ぶべきです。
特に岸田総理です。
岸田総理は東大卒のエリート官僚出身の政治家が好きです。
優秀だとの先入観があるのでしょうか。
盛山文科大臣を頑なにかばう姿勢は尋常ではありません。
エリート信仰に近いものを感じます。
世は乱れに乱れているのです。
安定した秩序の中でないと優秀さを発揮できない人物は逆にお荷物です。
事実を探求する行動力が不可欠です。
それと媚びずにものを言える能力です。
田中丘隅が今の時代必要なのです。
岸田総理には退いてもらい確かな眼を持つ人物に総理になってもらわないといけません。