禹と魯迅と真鶴

昨日、午後神奈川大学外国学部長の山口建治教授ら中国語科の先生たちが開成町に来られました。中国の治水神、禹王の研究成果を聞きながら遺跡を見学するためです。

足柄の歴史再発見クラブの佐久間俊治会長と大脇良夫顧問が応対しました。府川裕一町長も公務の合間に顔を出してくれました。私も途中から参加しました。

山口さんら中国の専門家にとっても禹王の存在がこんな近くに根付いていたことは新鮮な驚きだったようです。山口さんは早速治水神禹王の研究会に入会しました。

意見交換の席上私が最近聞いた話を紹介しました。中国の文豪魯迅が禹のことを題材にした小説を書いていると話しました。ご存知の方はいませんでした。

町役場の図書室に帰りに寄って調べてみました。ありました。筑摩書房の世界文学大系の第78巻、魯迅の作品を集めた巻の中にありました。

「故事新編」という古典や伝承に題材を求めた小作品集の中に「理水」という小説がありました。まさしく治水神禹王に題材を求めた作品でした。

治水でも利水でもなく「理水」としたのはなぜか、良くわかりません。しかし内容をざっと目を通しましたが禹王の伝承の物語を面白くアレンジしたものです。

魯迅は実は、真鶴と縁があります。西湘日中友好協会の事務局長の小早川のぞみさんから聞いた話です。魯迅との交友関係があった高良とみが真鶴に住んでいました。

高良とみは女性平和活動家で戦後最初の女性国会議員にもなりました。魯迅が高良とみに宛てた自筆の書があるということです。これで禹と魯迅と真鶴がつながりました。

中国古代の聖王が中国近代を代表する文豪魯迅の作品を通じて私たちの地域との関係が見つかりました。ちょっとした歴史の再発見ではないでしょうか。

真鶴の高良とみの自宅が現在どうなっているかは判りませんが、真鶴と酒匂川上流の禹王遺跡を訪れる歴史散歩ができそうです。実現したいです。