戦争を避け平和を守るために命を賭ける

「祖国のために命を捨てるのは高度な道徳的な行為」。
名古屋市の河村たかし市長の22日の記者会見での発言です。

23日神奈川大学のまちづくり講義で学生たちに聞きました。
「ウクライナのようになったら何らかのかたちで戦おうとするか?」。

大半が家族を守り場合によっては逃げるほうに手を挙げました。
本音だと思いました。

背筋が寒くなったのも正直なところです。
侵略者は日本の抵抗精神が細っていることを見逃してくれません。

侵略の口実を見つけ攻め込めば容易に占領できると思うはずです。
日本は悪魔のような国と国境を接してます。

河村発言は舌足らずのところがあり吟味が必要です。
発言全部を読むと一億玉砕が正しいと煽っているわけではありません。

極限状態に追い込まれた時に発揮する兵士のけ高い精神を讃えたのだと思います。
正しい見方です。

旧ソビエト軍との激闘の模様を記した父の戦記を読んでもよくわかります。
若い兵士が大隊長であった父の命令を受け敵戦車に爆弾を抱えて決死攻撃をするのです。

祖国の勝利のための一念がなければとてもできません。
父は若者たちのことを戦争で死ぬために生まれてきた世代と言ってました。

4年半のシベリア抑留を経て日本に帰国した父の胸によぎったのは平和の尊さでした。
平和がいちばんだと戦記の最後に結んでいました。

祖国のため命を捨てる高度な道徳的行為の積み重ねがあって平和が訪れました。
兵士たちの勇敢な行動を讃えるだけでは不十分です。

おびただしい血とひきかえに手にした平和の価値を評価する必要があります。
命を犠牲にし後世の人々に平和というかけがえのない贈り物を得たのです。

大切な贈り物を守るためどうするかが次の課題です。
戦争を断じて避け平和を守るのも命がけの行為です。

現代日本に必要なのは戦争ではなく平和のために身を挺す強じんな精神です。
戦争をさせないため身体を張るのも高度の道徳的行為であることは疑う余地がありません。