里山資本主義とグローバル資本主義の融合のモデルは開成町。

[写真]富士フイルム先進研究所

(富士フィルム先進研究所 富士フィルムホームページより)

藻谷浩介さんの『里山資本主義』がものすごく売れてます。今日(3/2)の朝日新聞の読書欄に載っていた新書部門の売り上げ週刊ベストテンの堂々第2位です。

藻谷さんは日本政策投資銀行に所属している地域政策のプロです。私も話を聴いたことがあります。データを駆使して実証的に地域開発や再生について語ります。

『里山資本主義』では、企業が輸出して一生懸命稼いでもその利益の大半が燃料代に消えてしまうのが日本の経済の根本問題だと鋭く指摘しました。

まさに今日本は貿易収支が悪化し赤字の状態に陥っています。昨年は10兆円を超えました。政府は、原油などの値上がりが大きな要因としています。

藻谷さんはこの構造欠陥を解決する手段の一つとして「里山資本主義」を提唱しています。定義は厳密ではありませんが地域密着型の小さな地産地消経済と言って良いと思います。

農林水産業をベースに地域に根ざした産業を興すことにより経済を立て直そうというものです。また自然エネルギーの活用でエネルギー面での自給率を高めることも主張してます。

これは重要な視点であることは言うまでもありません。これまで世界に伍するための大規模輸出ばかりに目を奪われて地域経済を疎かにしてきたことは間違いありません。

しかし、「里山資本主義」だけで問題解決かというとそれは無理です。いくら塵も積もればといっても限度があります。里山発想だけで万々歳とはなりません。

自然エネルギーの地産地消型の経済を復活させる一方でエネルギーをあまり使わずに外貨を稼げる新たな産業を誘致したり育成する必要があります。

開成町で富士フィルムの研究所の誘致をしたのは新たなグローバル産業の種をまく拠点を置こうと考えたからです。ここから世界商品が生み出されることを期待してのことです。

同時に町北部の水田地帯を舞台に農業を土台とする地産地消型の新たな地域経済の姿も見せることを狙う必要があります。自然エネルギー活用で造り酒屋の再生が格好のモデルです。

両者相まってグローバル経済にも対応でき一方で農業を土台とする地域経済も元気にさせることが可能となります。これぞ日本中が求めている新たな日本経済の姿です。

開成町は、新たな日本経済のあり方の発信拠点となりえます。日本の未来がかかっているぐらいの気持ちで取り組んでもらいたいです。