実学とは、「地域に学び地域に返す。」こと。

昨日、開成町民センターで「小田原・足柄を主題にした大学生(院生)の卒業論文に学ぶ会」が開かれました。6回目で4人の発表がありました。

足柄の歴史再発見クラブの顧問の大脇良夫さんと会員の井上三男さんの2人が中心となって始めた取り組みです。私は快挙だと思います。

時代が根底から大きく動いていることは誰しもが感じています。この時代を乗り切るには若い世代の感性が必要だということも一致していると思います。

その若い感性を小田原・足柄地域という地に足の着いた現場から捉えて若者に研究発表の場を提供し継続してきたことは大いに評価されます。

今回は更に新たな要素が加わりました。学生は若いとは限りません。63歳の学生の発表がありました。富士フィルムの技術者が退職後学んだ郷土史を発表されました。

江戸時代にあった小田原桐座という芸能劇場の歴史を丹念に追っていました。小田原にかつて存在した芸能の拠点を再び復活したいという思いが溢れていました。

東京電機大学の女子学生が、小田原城周辺にあったコメ倉周辺の発掘データに基づいてコンピューターを使い3次元の画像を再生しました。一目瞭然で説得力がありました。

足柄平野の木造建築物の耐震性について発表されたのは、神奈川大学工学部の大学院教授でした。学生がインフルエンザで急きょのピンチヒッターでした。

東京農大の女子学生は、開成町の水路に対する意識を探るアンケート調査を実施しました。指導教官の方が「地域に学び地域に返す。」と発言されていました。

まるで郷土の偉人の二宮尊徳の言葉にように受け取りました。学問は机上のものではなく地域とともにあることによって生命力を発揮すると思います。これこそが実学です。

昨日の発表会には開成町の府川町長と松田町の本山町長も参加されました。大学と町づくりをより近づけるためにこうした取り組みへの支援を期待します。