自然に逆らわない老子的な生き方が人気です。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら

(写真は、NHK100分de名著ホームページより)

その道の一流の研究者が古今東西の名著の肝をわかりやすく解説する番組があります。NHK教育テレビの「100分de名著」です。

書店のNHKテキストコーナーを眺めていたら、あれもこれも読んでみたいものばかりでした。悩みました。今放送中の中国兵法の古典中の古典『孫子』を購入しました。

それともう一冊日本の最古の書物『古事記』も買いました。一冊550円ですので新書より安いです。テレビを見なくても十分に理解できるように編集されています。

風呂場で手に取って読みました。さすがに一風呂では読みきれませんが2日か3日かければ一冊読みきれます。古典を楽しむには格好のガイドブックだと思いました。

最近はどんな古典を紹介しているのかと巻末にあった宣伝のページを開きました。驚きました。今年度の人気ナンバーワンは、『老子』でした。

夏目漱石の『こころ』、トルストイの『戦争と平和』、松尾芭蕉の『奥の細道』、中東で生まれた名作『アラビアンナイト』などを抑えて堂々の1位です。

中国古代の春秋戦国時代多くの思想家が輩出しました。代表が儒教を開いた孔子です。『論語』が有名です。その孔子と並び称されるのが老子です。

儒教は、礼や思いやりの心、仁を重んじます。堅苦しい感じがします。老子は違います。自然に従って無理しない生き方を求めています。「無為自然」という言葉を残しています。

昨年5月に放送されました。テキストブックは売り切れだということです。8月にはアンコールの声に応えて再放送されたことも知りました。

講師は、東京大学名誉教授の蜂屋邦夫さんです。これまた驚きました。中国思想史の第一人者の一人です。中国の治水神禹王の探訪を通じてお会いしたことがあります。

蜂屋さんの元々の専門は老荘思想です。どんな講義だったのかテレビを見てみたかったです。それにしてもテキストが売り切れるほどの人気とは意外でした。

テキストを求めた視聴者の方々の年齢層はは高いと思います。ストレスの強い現代社会を生きてきてもっと人間らしい違った生き方を今求めているのではないかと思いました。