広域行政の新たな課題、災害の歴史を伝える拠点の設置

災害大国といわれる日本。
大災害の歴史をどう継承していくかは古くて新しい問題です。

昨年は関東大震災から100年の節目の年でした。
東京をはじめ被害にあった各地で様々な催しがありました。

節目の年に何らかのイベントを開催することは歴史をよみがえらす有効な手段です。
そうした努力にもかかわらず記憶は薄れます。

昨日小田原の報徳博物館で足柄の歴史再発見クラブによるイベントがありました。
「関東大震災のあとをめぐる~足柄・小田原・秦野~」です。


クラブのメンバーが3年がかりで調査した報告書がこのほど完成しました。
刊行を記念しての催しで70人の参加者がありました。

小田原で歴史の探求を続けている「小田原史談会」の星野和子さんを講師に招きました。
星野さんは災害を伝える石碑を拓本にとり後世に伝える取り組みをされました。

“星野組”なる集団ができたとのことでした。
石碑を掃除したあと決められた手順に従って拓本を取ります。

大変な作業ですがとても楽しげでした。
楽しいということは活動を続ける大切な要素だと思います。

小田原駅近くの会場で展示会を開き600人もの来場者があったとのことです。
楽しさが背景にあると地道な取り組みもいっそう輝きます。

星野さんは災害について伝承館のようなアーカイブセンターの設置を提唱されてました。
防災センターの機能だけでなくではなく災害の歴史を今に伝える拠点となります。

歴史をひも解くことを防災まちづくりにつなげる視点は興味深いです。
モデルは兵庫県の「人と防災未来センター」でした。

阪神・淡路大震災の記憶を様々な視点から総合的に伝える拠点です。
もっとコンパクトな施設ならばいくつかの自治体が連携すればできます。

拠点ができることで人財が育成されることです。
拓本があっても伝える人がいなければ効果は薄れます。

災害に焦点を絞り歴史を探求することを通じて現代の安全につなげる。
広域行政の新たな課題だと思いました。